研究課題/領域番号 |
17K10313
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
浅見 剛 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70623057)
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研究分担者 |
平安 良雄 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244324) [辞退]
吉田 晴久 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70784164) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パニック症 / 脳構造 / 脳機能 |
研究実績の概要 |
パニック症の安静時脳機能および安静時脳機能的連絡の変化と、それらを連絡する白質構造の変化、自律神経機能の変化、症状評価尺度との関連も調べ、パニック症の脳病態を解明することを目的としている。本年度までにパニック症37例、健常群33例より脳画像データを収集した。パニック症の脳基盤としては、体性感覚情報が視床や島回、内側前頭前野・帯状回で十分に処理されない結果、不安中枢である扁桃体が過活動に陥り、その扁桃体からの情報が遠心性に脳幹や視床下部に伝達されることにより諸症状が引き起こされると考えられている。これらの脳領域での脳構造変化が認められることを報告してきたが、主要脳領域に関しては、小区域に区分し詳細な検討を行った。その結果、女性パニック症では視床の前腹側核や背内側核において容積減少が認められること、それらの脳容積とパニック発作の重症度と関連していることを見出した。現在、論文投稿に向けて執筆中である。また、パニック症では視床下部の前上部領域の容積が減少していることも明らかにした。この領域には、室傍核が含まれており、視床下部-下垂体-副腎系としてパニック発作の症状に関与していると考えられている。現在、下垂体の構造変化の評価を行っており、それが済んだのちに論文投稿に向けて準備を始める予定である。灰白質を連絡する白質の構造や機能的連絡に関しても解析を行っている。扁桃体と帯状回を連絡する白質構造の変化および脳機能的連絡の変化に関して解析を行っている最中である。予備解析では、パニック症におけるFractional Anisotropyの減少や機能的結合の低下が傾向レベルで認められた。脳画像以外には、パニック症の諸症状は自律神経系機能異常と密接に関連しているため、心臓自律神経機能を安静時ならびに課題負荷時も測定しており、パニック症30例、健常群21例よりデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症拡大の影響を受け、精神科病棟閉鎖などもあったため、リクルートが予定より遅れている。来院事態を躊躇し電話診療に変わる患者が多く、3名ほど検査が延期・保留となっている。健常群に関しても同様であった。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき、当院の入院・外来患者のみならず、近隣の医療施設の担当者にも広報活動を積極的に行ってゆく。パニック症に対する専門外来も立ち上げるため、そこからもリクルートを行う。健常群に関しても、同様に広報活動を強化し、リクルート数を増やしてゆく。パニック症は5名、健常群は10名のリクルートを完了し、本研究のリクルートを完了する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症拡大に伴いリクルートが減少したため、予定されていた検査を行うことができなかった。また、日本不安症学会などの国内外で学会において成果の一部を学会発表する予定であったが、開催が中止された。 本年度は最終年度となるため、データ収集を行い、学会発表も行う。
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