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2019 年度 実施状況報告書

ヒト前頭前野の可塑的変化に基づく脳刺激の最適化と個別化

研究課題

研究課題/領域番号 17K10316
研究機関昭和大学

研究代表者

中村 元昭  昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50464532)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード反復経頭蓋磁気刺激 / 気分障害 / 発達障害 / 前頭前野 / 頭部MRI / 可塑性
研究実績の概要

令和元年度は、RCTの解析を実施して、研究計画を一部変更して発達障害者を対象としたデータも取得した。うつ病患者計25名が反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)のRCTにエントリーして、7名はエントリー基準に合致せず、18名が3群にランダマイズされた。rTMS介入の前後において、頭部MRI、DTI、脳波のデータを縦断的に取得した。rTMSの総セッション数は、347セッションで、安全性に関しては一過性の頭皮痛(刺激痛)が24.2%認められ、脱落者は1名であった。安全性情報に関しては、脳プロ・DecNef安全性検討委員会に定期報告を行い、外部委員の判断も含めて、安全性に問題のないことを確認することができた。刺激プロトコールとしては、iTBS(間歇性シータバースト刺激)やQPS(反復単相性4連発磁気刺激法)といった新規性の高い刺激プロトコールを安全に実施することができた。有効性に関しては、3群共に有効性が示されたが、QPSによる有効性が最も優れていた。認知機能については、ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)、言語流暢性課題、対連合記憶課題、作動記憶において有意な改善が認められ前頭葉機能との関連性が示唆されたが、刺激プロトコールによる違いは認められなかった。また、発達障害当事者13名と定型発達者16名に対し、iTBS・cTBS・シャム刺激のrTMSを行い、その前後で実行機能、注意機能を評価した。rTMSの総セッション数は、87セッションで、安全性に関しては一過性の頭皮痛(刺激痛)が19.2%認められ、脱落者は0名であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

11症例に対して、計220セッションの反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を実施することが出来て、縦断的なMRIデータ、脳波データも蓄積することができた。また新たに発達障害当事者と定型発達者に対象を広げ、87セッションのrTMSを安全に実施した。期間延長を申請したが、研究自体は進んでおり、概ね順調な進捗と判断した。

今後の研究の推進方策

・rTMS実施にかかるマンパワーを強化して、実施枠を拡大する。
・解析のための方法論を確立する。
・発達障害のデータについては、ある程度の症例が蓄積された段階で、予備的解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

令和元年度に購入予定であった空冷式TMS刺激コイルセットを購入する必要性がなくなった点が大きな理由である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Role of the right temporoparietal junction in intergroup bias in trust decisions. Hum Brain Mapp.2020

    • 著者名/発表者名
      Fujino J, Tei S, Itahashi T, Aoki YY, Ohta H, Kubota M, Hashimoto RI, Takahashi H, Kato N, Nakamura M.
    • 雑誌名

      Hum Brain Mapp.

      巻: 15;41(6) ページ: 1677-1688

    • DOI

      doi: 10.1002/hbm.24903.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【Non-invasive Neuromodulation-基礎・検査・治療】検査と治療 うつ病2020

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience.

      巻: 38(1) ページ: 85-88

  • [雑誌論文] 磁気刺激法の安全性に関するガイドライン(2019年版).2019

    • 著者名/発表者名
      花島 律子、松本 英之、出江 紳一、宇川 義一、緒方 勝也、鬼頭 伸輔、小林 正人、齋藤 洋一、寺尾 安生、中村 元昭、野田 賀大、西田 圭一郎、臨床神経生理学会脳刺激法に関する小委員会
    • 雑誌名

      臨床神経生理学.

      巻: 47(2) ページ: 126-130.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適正使用について】反復経頭蓋磁気刺激療法の実際と留意事項.2019

    • 著者名/発表者名
      伊津野 拓司、中村 元昭
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌

      巻: 121(5) ページ: 388-394

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 【反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適正使用について】反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適正使用指針 背景にある考え方2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌

      巻: 121(5) ページ: 395-404

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 【ニューロモデュレーション治療の可能性】反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の作用機序.2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 34(6) ページ: 586-594

  • [学会発表] rTMS療法の位置づけと有用性2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 学会等名
      第115回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] うつ病のrTMS療法における神経回路特異性2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 学会等名
      第41回日本生物学的精神医学会
  • [学会発表] rTMS療法の保険診療化は何をもたらすか?2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 学会等名
      第49回日本臨床神経生理学会
  • [学会発表] 神経回路からみたうつ病のrTMS療法2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 学会等名
      第49回日本臨床神経生理学会
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症における背外側前頭前野の可塑性2019

    • 著者名/発表者名
      中村 元昭
    • 学会等名
      第60回日本児童青年精神医学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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