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2020 年度 実績報告書

DNAメチル化を用いたアルツハイマー病患者の行動・心理症状の病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K10317
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

品川 俊一郎  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90459628)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード認知症 / アルツハイマー病 / BPSD / DNAメチル化
研究実績の概要

本研究ではDNAメチル化量がBPSDの出現の予測バイオマーカーとなる可能性を検証することを目的とした。
NPIを用い、BPSDのなかでも最もマネージメントが難しいとされる興奮に注目した。プレリミナリーな検討として、アルツハイマー病(AD)と診断された12例(興奮のある群7例とない群5例)および正常対照群(NC)4例を対象とし、網羅的に485577箇所のDNAメチル化量を定量した。興奮の有無で有意差がつき、かつ興奮あり群とNCで有意差のつく領域が1772箇所あった。CpG部位の出現頻度が高い領域に存在し、ゲノムでブラウザデータベースに登録されている遺伝子に存在するCpG部位は286箇所であった。 これらの286箇所に関連する遺伝子について、GO解析を行ったところ71のGO termが得られた。一方、KEGGパスウェイ解析を行ったところ 7つのパスウェイが得られた。そのなかでもっともEnrichment factorが高かったのがWntシグナルであった。
そのため、次にWNT5A遺伝子が興奮の発現に関与している可能性を認知症と診断された108例で検証した。26例は興奮を伴う対象であり、82例は興奮を伴わない対象であった。MS-HRM法による解析の結果、興奮を伴う認知症の対象者のWNT5AのDNAメチル化レベルは、興奮を伴わない被験者に比べて有意に低かった(P = 0.001)。WNT5A DNAメチル化量の変化は、年齢、性別、BMI、APOEε4、投薬、炎症性サイトカインの影響を受けなかった。
この結果から興奮とWntシグナル、特にWNT5AのDNAメチル化量の変化との関連が示された。これは興奮の出現を予測するためのバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。この結果はBPSDの神経機序の解明にも貢献すると考えられた。

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公開日: 2021-12-27  

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