本研究ではDNAメチル化量がBPSDのバイオマーカーとなる可能性を検証することを目的とした。BPSDの中でも対応が難しい興奮に注目し、まずは少数例でのDNAメチル化の包括的な解析を行った。GO解析とKEGGパスウェイ解析などを行った結果、興奮に対するWntシグナル経路の関与が示唆された。そのため、認知症患者108名をさらに解析した結果、興奮の有無でWNT5AのDNAメチル化量が有意に差があった。年齢、性別、BMI、APOEε4、投薬、炎症性サイトカインの影響はなかった。WNT5AのDNAメチル化量が興奮のバイオマーカーとして有用であり、BPSDの神経機序の解明にも寄与すると考えられた。
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