統合失調症患者が社会へ適応・復帰するためは、認知機能(記憶、実行機能、注意力など)およびそれに連動する社会機能的能力(日常生活技能など)を改善する必要がある。本研究は、ニューロモデュレーションのひとつである経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の、統合失調症患者の認知機能および社会機能的能力に対する効果を調べる無作為割付け盲検試験(RCT)を構築した(jRCTs 032180064)。また、tDCSによる統合失調症の陽性症状あるいは陰性症状の改善の程度が、1)患者によりばらつくこと、2)近赤外線光トポグラフィー(NIRS) により示されるtDCS施行前の大脳皮質の血流量と相関することを見出た(J Psychiatr Res 2018)。この所見は、tDCSの効果の程度が客観的な生体指標から予測できること示す。
本研究により、統合失調症患者の認知機能および社会機能的能力をtDCSが改善することが、客観的かつ精緻に示されると予想された。以上より、精神疾患を有する患者の社会復帰に向けた、従来のアプローチとは異なる新たな治療法の創出につながると期待される。
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