統合失調症などの精神疾患をもっている患者の転帰には、陽性症状などの精神症状よりも認知機能障害の方がより大きな影響を与えることが明らかになっている。統合失調症の患者は、言語記憶・ワーキングメモリ・運動機能・注意・処理速度・推論・問題解決・社会認知などの多くの認知領域において障害されている。本研究は、統合失調症患者を対象に、申請者が取り組んできた非侵襲的で時間分解能に優れた脳機能画像検査である光トポグラフィー(near infrared spectroscopy; NIRS)を用いることで、認知機能障害を脳機能動態の観点から検討し、将来の臨床へ応用可能な生物学的指標の確立を目指している。統合失調症患者の前頭葉機能に基づいて前頭葉機能異常サブタイプの同定と各サブタイプ間の認知機能の違いが認められた。統合失調症の異質性を解明することは、サブタイプに特化した治療法の開発などにつながる可能性がある。
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