研究課題/領域番号 |
17K10333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下寺 信次 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20315005)
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研究分担者 |
上村 直人 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (10315004)
藤田 博一 高知大学, 教育研究部医療学系医学教育部門, 准教授 (70380326)
古川 壽亮 京都大学, 医学研究科, 教授 (90275123)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パニック症 / 家族 / 精神症状 / 不安症 / 感情表出 / うつ病 |
研究実績の概要 |
パニック症の症状経過における家族の感情表出の影響を引き続き調査するため、初診患者を中心としてパニック症のICD-10による操作的診断基準とパニック発作の経時的な変化を記録している。初診理由にはうつ状態を主訴とするものあるいは自己記入式抑うつ評価スケールであるSDSでうつ状態が軽度以上あるものが40%、中等度以上あるものがそのうち20%、重度のものがそのうち10%検出された。抑うつ状態があるものは家族からの批判を受けていることが多く、症状経過にも影響があると推測された。東京都での対象者は20代の患者が多く、独居していることが大半で症例数の割には、研究対象者になる患者層が少なく苦慮している。パニック症での初診患者は内科のクリニックを受診している傾向にあり、その際に抗不安薬のみの処方がなされていることが多く、セロトニン再取り込み阻害薬などの標準的な治療を行われている例が少なく、本研究を正しく進めて行くうえでバイアスとならないように詳細なデータ収集が初診時になされないといけないことが判明した。東京都での対象患者と高知県での対象患者には年齢差が大きく、罹病期間あるいは未治療期間を考慮することが重要であることがわかり患者対象が偏らない工夫も必要であると考えられた。このような研究遂行上の困難はあるもののパニック症は家族からの感情表出に敏感でありうつ病に匹敵する程度に症状経過に関係していることが明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者が若年成人であることが多く、未治療期間が短いことが大きな研究のメリットではあるが単身生活しているものが予想以上に多いことやうつ状態を呈している患者は休職をすることが多く、経済的な理由で配偶者を主体とした家族が家族面接に来ることが困難である。リクルートエリアを広げる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
初診の患者層にこだわらず家族が研究協力可能な対象者のリクルートの強化を行う。また、リクルート先以外の協力可能な病院にすでに研究協力の依頼をしており対象者の増加を確実なものとしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入予定であった治療薬に関する書籍や関連する本が勤務先の予算で購入したため研究費を翌年以降に改定される書籍購入に充てることとした。また、予定していた会議や学会出張などの旅費等に関して仕事と調整がつかず次年度に繰り越すこととした。
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