研究実績の概要 |
学校教員の精神疾患を理由とする休職者数は増加している。他職種と比較しても,教員はより強いストレス状況下にあり,うつ傾向も強いことが報告されている。日本の教員は世界的にも長い勤務時間であり,課外活動や一般的事務作業や授業の準備が長い傾向が指摘されている。教員は,「保護者との対応」や「生徒指導」や部活など特有のストレスを抱え,感情労働としての業務量の増加なども指摘されている。 職業性ストレス簡易調査票は、職種による違いを考慮した判定が行えず、職種ごとに特徴的なストレス要因の評価ができないという問題点がある。職種ごとに特徴的なストレス要因を,十分な信頼性と妥当性を有した専用の尺度で評価することが,具体的なメンタルヘルスケアのために必要である。本研究は簡便で客観的な 教員の職業性ストレス評価票を新たに開発することを目的としている。予備調査として,宮崎市内の小中学校4校の教員98名に匿名式自由記述式質問紙を用い,教員特有の業務上のストレスを記載する形式で実施した。これにより45 項目からなる「教員の職業性ストレス尺度原案」を作成した。平成29年度中に,宮崎市教育委員会の了承を得て,宮崎市内の公立小中学校の教員2276名の教員に「教員の職業性ストレス尺度原案」45項目を配布し,1721名の有効回答を得て,そのうちデータの欠損等を除く1300名を解析対象とした。因子分析により,23項目の「教員の職業性ストレス尺度」を開発し,信頼性·妥当性を検証し論文化した。平成31年3月29日にNeuropsychopharmacology Reports への論文が受理され,Neuropsychopharmacology Reports 2019; 39: 164-172.に掲載された。
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