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2021 年度 実施状況報告書

パーキンソン病の視覚性錯認知出現機序に関する神経心理学と脳科学による検証

研究課題

研究課題/領域番号 17K10336
研究機関埼玉県立大学

研究代表者

石岡 俊之  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50548914)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードパーキンソン病 / 主観的輪郭 / 高次視覚皮質 / 腹側形態知覚処理 / 脳糖代謝
研究実績の概要

今年度は,パーキンソン病(PD)による腹側形態知覚処理に関わる高次視覚皮質機能低下がPD患者の主観的輪郭(輝度や色の変化が輪郭線に沿って生じていない状況で輪郭が知覚される錯視)を知覚する能力低下を示すという仮説を検証した.
PD患者群と健常対照群(HC)に対してカニッツァ図形で形成された主観的輪郭(カニッツァ型主観的輪郭)と,整列した線分の端点で形成された主観的輪郭(整列した線分型主観的輪郭)の刺激を用いて、知覚に必要な刺激提示時間を測定し比較した.また,PD患者の主観的輪郭知覚能力低下と大脳の安静時糖代謝の低下との関係性を18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)画像をボクセルごとに全脳で解析した.
結果,PD患者とHCの間で,カニッツァ型輪郭の知覚に必要な提示時間に有意差が認められた(p < .001; Cohen's d = 0.771).しかし、PD患者とHCの間で,整列した線分型主観的輪郭を知覚するのに必要な提示時間には有意差を検出できなかった(p = .062; Cohen’s d = 0.519).PD患者のカニッツァ型主観的輪郭の知覚機能の低下は,腹側形態知覚処理に関わる高次視覚皮質に含まれる下側頭回後方領域の糖代謝低下と相関してた (FEW-corrected p < .05).
本研究の結果は,PD患者に主観的輪郭を知覚する難しさがあることを明らかにし,PD患者の視覚障害には高次視覚皮質機能の低下が関与した視知覚の問題があることを示唆している.本研究の神経心理学的知見は,ヒトの主観的輪郭の知覚に高次視覚皮質領域が関与しているという機能的神経画像研究の見解を支持する成果となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

公表すべきデータの取得は終了し,一部は論文か出来た.残りのデータの解析及び公表に向けた論文を作成する作業が残っている.

今後の研究の推進方策

取得したデータの解析及びその成果を論文化するなどして社会に公表する作業が残っており次年度はその作業を中心に実施していく.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は,COVID-19による影響による学会参加に必要な旅費などの経費が必要なくなったことや論文作成および投稿経費が執行できていない点があげられる.
次年度は,論文作成に必要な消耗品や英文校正費およびオープンアクセスなどの投稿料に執行予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Impaired perception of illusory contours and cortical hypometabolism in patients with Parkinson’s disease2021

    • 著者名/発表者名
      Ishioka Toshiyuki, Hirayama Kazumi, Hosokai Yoshiyuki, Takeda Atsushi, Suzuki Kyoko, Nishio Yoshiyuki, Sawada Yoichi, Abe Nobuhito, Mori Etsuro
    • 雑誌名

      NeuroImage: Clinical

      巻: 32 ページ: 102779~102779

    • DOI

      10.1016/j.nicl.2021.102779

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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