牽引性気管支拡張を評価する上で、画像処理ソフトを用い、CTで撮像したDICOMデータより気管支を抽出し、次いで自作の気道対応アルゴリズムを用いて異なる時期の同一気管支をマッチングさせて、それぞれの気管支区間の平均直径、曲率を比較できるように併記してデータをExcel file に出力する。 以上のように、CTのDICOM データから気管支を抽出し、その直径と曲率の経時的変化を再現性があり、客観的に評価するシステムを構築した。 当初、画像処理として、閾値設定法による普及型ソフトScan IP を用いたが、多くの症例で蜂巣肺などの背景肺の異常所見が妨げとなり気管支抽出が困難であった。そこで、Persistent Homology を応用し、蜂巣肺などの背景肺の異常所見を取り除くアルゴリズムを作成することを次の目的とした。しかしながら、このアルゴリズムを構築するには種々の問題を解決する必要があり、研究期間中の対応が困難であることが判明した。次いで、商業ベースの画像解析ソフトウエアZio Station を用いることで、気管支の抽出を行った。対象は合計251例、832検査分であったが、全例全検査で気管支抽出の画像処理が終了した。現在、抽出した気管支のデータを気道対応アルゴリズムで解析しており、23症例70検査分のマッチングが終了している。今後は、気道対応アルゴリズムを用いて、残りの症例検査の解析を行う。更に、解析結果を基に気道の変化と予後など臨床所見との関連を調べ、考察を加えた上で学会や学術論文で公表、発表する予定である。
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