研究実績の概要 |
平成29年度に引き続き、当施設で外科的に切除された原発性肺腺癌症例のうち、最大径3cm以下のすりガラス型結節、部分充実型結節を研究対象とした。 上皮内腺癌~微少浸潤性腺癌の群と浸潤性腺癌の群の2群間の鑑別において、90th percentile CT値とentropyが有用であることを平成29年度に英語論文として発表したが、予後が大きく異なる上記2群間の鑑別は臨床的に重要であり、本研究は薄層CTを用いた定量的画像解析がその鑑別において有用であることを示した点で有意義であることから、平成30年度の日本医学放射線学会総会においても発表した。 また、上記の研究において、テクスチャ解析に必要なのは薄層CTにおける病変の輪郭取りのみであるため、研究代表者と研究協力者より肺腺癌の画像診断のレクチャーを受けた2名の医学生がテクスチャ解析を行った結果と、放射線診断専門医が行った解析結果とを対比した。その結果、放射線診断専門医、医学生ともに単変量解析では2群間にすべての検討項目で有意差を認め、後者(浸潤性腺癌群)が前者に比して腫瘍体積、腫瘍重量、腫瘍の平均CT値、分散、entropy、percentile CT値(10th, 25th, 50th, 75th, 90th, 95th)が有意に高く、残りの因子は有意に低かった。多変量解析では90th percentile CT値とentropyで有意差を示し、90th percentile CT値とentropyに関してROC解析を行ったところ、2群を非常に良好に鑑別することができ、放射線診断医と医学生の間に有意差は認められなかった。解析項目の一致度もほぼ全項目で良好であった。これらの結果は定量的画像解析の客観性や再現性を示す点で重要と考えられたため、研究会で発表した。
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