研究課題/領域番号 |
17K10353
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
若林 大志 金沢大学, 附属病院, 助教 (60622818)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 腎機能 / 陽電子放出断層撮影 |
研究実績の概要 |
古典的な核医学腎動態シンチグラフィに代わる腎機能評価法の確立を目指し、新PET(Positron emission tomography, 陽電子放射断層撮像法)核種のF-18-FDS (フルオロデオキシソルビトール)を用いて基礎検討を行った。従来の腎動態シンチグラフィでは片側毎の腎血流・機能評価はできるものの、機能低下時には糸 球体濾過量値の推定が不正確となる欠点があり画像解析法の改善が必要とされてきた。これに代わり最新鋭のPET機器にて正確な腎機能画像診断法が確立出来れ ば、正確な腎機能評価が可能となり重要なツールとなりうる。 初年度は正常ラットと腎機能低下ラットモデルを用いてF-18-FDS PET画像評価を行った。腎不全ラットモデルでは両側腎ともに腎不全を反映し、腎皮質への著名なFDS取り込み低下を確認した。尿管閉塞モデルでは、対側の正常腎と比較して、閉塞腎の腎盂拡張と腎皮質へのFDS集積低下を認めた。PET機を用いることで両モデルともに古典的な核医学検査では不可能だった断層画像での経時的画像評価が可能であることを確認した。 本年度は、従来核医学検査で用いられる99mTc-DTPAと18F-FDSの血中クリアランスの違いを比較検討した。Wistarラットに2核種を同時静注し持続動脈採血を行ない、血中消失半減期、血中濃度時間曲線下面積を算出した。18F-FDSは99mTc-DTPAと比較し半減期が長く、血中濃度時間曲線下面積は大きかったたが差は小さく、画像測定には影響しない程度であることが確認できた。マクロオートラジオグラフィを用いた腎臓分布の検討では、従来の99mTc-DTPAと18F-FDSとの間で差がないことを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、F-18-FDSクリアランス、Tc-99m-DTPAクリアランスの検討を行い、両トレーサーがほぼ同様なクリアランスを示すことを確認できた。また、腎臓への分布が従来の99mTc-DTPAと18F-FDSとの間で差がないかをマクロオートラジオグラフィを用いて評価し、分布の違いを認めないことを確認した。SPECT/PET機での画像評価では、ファントム試験の結果からF-18-FDSとTc-99m-DTPAの同時画像評価を行うには投与量を増やす必要性が確認された。一方で、画像評価を行う際に、関心領域の設定が解析値に大きく影響するため解析方法の検討を行った。このように問題は認めているが、解決しながらおおむね順調に進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、F-18-FDSとTc-99m-DTPAの撮影を行い、画像評価を推進していく。また、画像評価とクリアランスの関係をより正確に把握 できるよう、上記核医学手法以外にもクレアチニンクリアランスとの比較検討を行うことで期待通りの実験成果が得られると考える。
|