研究課題/領域番号 |
17K10354
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北尾 梓 金沢大学, 附属病院, 助教 (20608690)
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研究分担者 |
蒲田 敏文 金沢大学, 医学系, 教授 (00169806)
原田 憲一 金沢大学, 医学系, 教授 (30283112)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / MRI / Gd-EOB-DTPA |
研究実績の概要 |
平成29年度は外科的切除されたHCC 200症例を集積し、切除標本に対しGd-EOB-DTPAの取り込みトランスポーターであるOATP1B3, beta-catenin, glutamine synthetase, HNF4alpha, EpCAM, TGF-betaの免疫染色を行なった。OATP1B3, beta-catenin, glutamine synthetase, HNF4alphaの発現については半定量評価を行った。 予後良好なS3の亜型に分類されるbeta-catenin活性化型HCCはOATP1B3の発現が増加しており、EOB-MRI肝細胞相での造影効果が高いことが報告されている。また、HCCにおけるOATP1B3の発現はHNF4alphaが制御していることも報告されている。そこでまずHCCにおけるbeta-cateninとHNF4alphaの発現パターンと、OATP1B3の発現並びにEOB-MRI肝細胞相での造影効果との相関について検討した。その結果、beta-cateninとHNF4alphaの両者の発現が高い群は、他群と比較してOATP1B3の発現が増加しており、肝細胞相での信号上昇も認められた。つまりOATP1B3の発現にはbeta-cateninとHNF4alphaの分子的な相互作用が必要であることが推測された。 また副検討として、臨床的に鑑別が問題となるOATP1B3陽性HCCとfocal nodular hyperplasia(FNH)との画像所見の解析を行った。OATP1B3陽性HCC(肝細胞相高信号HCC、51結節)とFNH・FNH like nodule(18結節)との鑑別点として、このHCCではdynamic CTでのwashoutパターン、ADCの低下が独立した予測因子であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画書に基づいて検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度施行した免疫染色のうち、EpCAM, TGF-betaの発現評価を行う。 他の分子マーカー(AKT, HepPar-1, CK19, glypocan3, HSP70, MYC, P-53, E-cadherin, vimentin)についても免疫染色を行い、発現を評価する。 分子発現によりHoshida分類に基づいて亜型に分類する。 臨床像、予後、病理像の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの予算執行であったが、一部は低価格に抑えることができたため端数が生じた。繰越金は物品費として抗体の購入のために使用する。
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