研究課題/領域番号 |
17K10354
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北尾 梓 金沢大学, 附属病院, 助教 (20608690)
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研究分担者 |
蒲田 敏文 金沢大学, 医学系, 教授 (00169806)
原田 憲一 金沢大学, 医学系, 教授 (30283112)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / CT / MRI / radiogenomics |
研究実績の概要 |
肝細胞癌では脂肪沈着が高頻度に認められるが、その中でもsteatohepatitic subtype (SH-HCC), clear cell subtype (CC-HCC)に着目し、画像および臨床病理学的な検討を行った (小坂ら. 2019年日本医学放射線学会)。MRI chemical shift画像のin phaseと比較してout of phaseで信号低下を認め、外科的切除された肝細胞癌98結節を対象とし、SH-HCC (n=29), CC-HCC (n=31), Nonspecific HCC (N-HCC, n=38)の3群に分類した。背景肝疾患はSH-HCCではNASH、N-HCCはHBV・HCV感染の頻度が有意に高かった。病理学的にはCC-HCCでは低分化型と壊死、一方N-HCCでは高分化型の頻度が有意に高かった。画像上、SH-HCCはCT値T1WI (IP)でのSIRが高値を示した。CC-HCCではT1WIでのSIRが低値で、DWIでのSIRが高値、targetoid signを高頻度に認めた。N-HCCではDWIでのSIRが低値、ADC (最小値)が高値で、targetoid signは稀であった。予後検討ではCC-HCCで無再発生存率が低かった。これらは異なる臨床病理的な特徴を持つ亜型であり、画像がその推測に有用と考えられた。 また異型結結節 (n=9)、早期肝細胞癌 (n=10)、小型の高分化型肝細胞癌 (n=30)の切除例の画像所見の再検討を行った。その結果、造影CT/MRI動脈相での造影効果やT2WI高信号、DWI高信号の所見は高分化型肝細胞癌の段階から認められることを示した。軽度異型結節の段階からOATP1B3の発現が低下することによりEOB-MRI肝細胞相で低信号を呈することが明らかとなり、前癌病変の鋭敏なマーカーと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画に基づいて検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
分化度が高く、EMT、血管浸潤、予後不良の指標とされるP53の発現に着目し、免疫染色での発現を評価する。 画像所見、臨床像、予後、病理像の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの予算執行であったが、一部は低価格に抑えることができたため端数が生じた。繰越金は物品費として使用する。
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