研究実績の概要 |
従来の心臓のシネCTは、冠動脈CTの副産物として取得されてきたが、8-15mSv以上の高い被曝を要する。撮影を心位相の一部に限定すれば冠動脈CTの被曝を劇的に低減できる(step&shoot法)が、シネCTは得られない。我々は造影剤の初回循環でstep&shoot法による低被曝冠動脈CT撮影を、再循環(second-pass)でシネCTを撮影することを考案した。本法では超低線量0.73 mSv でシネCTを取得でき、左室収縮末期容積、拡張末期容積、駆出率、心筋重量、長軸ストレインが、通常線量のシネCTやMRIと比較してよく一致することを確認し、今後は初回循環ではstep&shootによる冠動脈CTを撮影、再循環で超低線量シネCTを撮影することで心機能評価を線量を抑えたまま実施できると期待される。また、従来型のストレイン解析(radial, circumferential, longitudinal)と異なり心筋線維の走行方向の収縮度を示すより生理的な指標であるprincipalストレイン連解析ソフトウェアをカルガリー大学生物医学工学科と共同で開発した。高空間分解能のシネCTに対してPrincipal strain解析を行うと心筋部位による収縮度や収縮タイミングの違いを3次元的にマッピングすることができた。現状としてはCTのデータ量が非常に大きいことや画質やテクスチャのばらつきが大きくマニュアルによる補正が必要で今後は心筋抽出の自動化や容易な補正を可能とするインタフェースの開発が必要である。三次元的に取得されたデータから心筋セグメント単位での値への変換する機能や冠動脈画像、心筋灌流画像、心筋遅延造影画像などとの比較、融合する機能を搭載できれば各種心疾患における形態と機能の関係を解析する有用な手段となり得る。
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