研究課題/領域番号 |
17K10360
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大田 信一 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30583637)
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研究分担者 |
園田 明永 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00571051)
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40324587)
渡邉 尚武 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (60570364)
井上 明星 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20803349)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炭酸ガス / 陰性造影剤 / 炭酸溶解生理食塩水 |
研究実績の概要 |
昨年度のin vitroの実験で、炭酸溶解生理食塩水は造影剤として利用可能であり、炭酸ガスと遜色ない造影能を有していた。今年度は、動物実験において炭酸溶解生理食塩水を造影剤として使用し、炭酸ガスと比較、検討し、in vivoでの問題点を明らかにした。 対象はウサギ10羽。大腿動脈をカットダウンして、4Frショートシースを挿入、4Frカテーテルから上部大動脈(腹腔動脈レベル)、中部大動脈(腎動脈レベル)、さらにシースより下部大動脈(大動脈分岐部レベル)を炭酸溶解生理食塩水5ml、炭酸ガス5mlを用いて、それぞれ5羽ずつDSA造影した。IVR専門医3人が血管造影をランダムに100段階のリッカート尺度を用いて、血管造影能を評価し、炭酸溶解生理食塩水と炭酸ガスの血管造影能を比較した。また炭酸溶解生理食塩水のin vivoでの使用において、問題が生じるかを確認した。 血管造影能は、炭酸溶解生理食塩水では上中下部でそれぞれ、52.1 ± 17.3, 56.3 ±12.9, 50.1 ± 24.0 であった。一方、炭酸ガスではそれぞれ、66.5 ± 16.7, 77.3 ±15.4, 87.3 ± 5.6 であった。また炭酸ガス使用時には、ウサギに問題は生じなかったが、炭酸溶解生理食塩水の注入により、体動が多くなり、痛みを感じているウサギが見られた。 炭酸溶解生理食塩水を用いた血管造影は、炭酸ガスに比べると、造影能は劣っていた。これは、炭酸溶解生理食塩水注入による刺激が生じるために、体動が多いためと考えられた。炭酸溶解生理食塩水から発砲する炭酸ガス自体は、生体刺激はないが、発砲すること自体が血管刺激になっていると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験を行い、陰性造影剤のgold standardである炭酸ガスと炭酸溶解生理食塩水との比較ができた。また炭酸溶解生理食塩水の生体使用における問題点が明らかになった。これは実際に血管内投与をしてみないとわからない問題であり、動物実験が有用であったためである。
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今後の研究の推進方策 |
炭酸ガスの溶解を少なくした、弱炭酸溶解生理食塩水で血管刺激があるのかを確認する。また弱炭酸溶解生理食塩水の血管刺激が弱い場合、陰性造影剤としての十分であるかを確認する方針である。 もし、弱炭酸溶解生理食塩水であっても、血管刺激が強く、陰性造影剤として使用不可と判明すれば、炭酸溶解生理食塩水から発生する炭酸ガスを陰性造影剤として用いるしかなく、炭酸ガスのgeneratorとして用いる方向を考えねばならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度分の助成金と合わせて、追加の動物実験や研究発表の旅費として使用予定である。
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