研究課題/領域番号 |
17K10362
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
仲 定宏 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (60599843)
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研究分担者 |
金井 泰和 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (60397643)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 固相抽出法 / 18F-FAMT / 18F-DPA714 / カセット式合成装置 |
研究実績の概要 |
今年度は、まず、[18F]FBPAの[18F]F2からの合成による固相抽出(SPE)法導入の結果をもとに、[18F]FAMTの合成検討を行った。先の検討結果から[18F]F2からの合成では分取工程におけるSPE法の利用は困難であると判断したことから、[18F]F-及びピナコールエステルを導入した新規前駆体を用いた合成法の確立を目指した。新規前駆体を触媒としてCu試薬を加えたN,N-ジメチルアセトアミドに溶解し、ふっ素化を行うことで標識率50%以上と良好な値で[18F]標識体を得ることができた。また、SPEカラムを用いたCuイオン及び未反応の[18F]F-を除去後、脱保護を行うことで[18F]FAMTを高純度で得ることができた。この目的物をボロン酸を選択的に捕捉、または、ピナコールを選択的に捕捉するSPEカラムを用いて未反応の前駆体等の除去を試みたが、十分な除去は達成できなかった。 また、別の候補化合物として、[18F]DPA-714については、[18F]F-と2ブロモエチルトリフレートを用いたふっ素化条件を確立後、この反応液についてSPEカラムでの分離精製を試みた。まず、2ブロモエチルトリフレートをO-ジクロロベンゼンに溶解し、これを[18F]F-と反応させることで[18F]フルオロエチルブロマイドを生成し、これをDMFに溶解した前駆体と反応させることで目的物を得た。さらに、反応後の精製については、DPA714の標準液及びtC2カラムにて洗浄及び回収に用いるエタノール濃度の検討を行った。その結果、25-30%のエタノール水溶液を用いることで目的物を80%以上の回収率で得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、[18F]FAMT及び[18F]DPA714のSPE法を用いた分離精製を検討予定であったが、[18F]FAMTについては、新規前駆体を用いた標識合成法の確立及び標識後、脱保護前の不純物除去に関しての検討はおおむね完了したが、最終的な目的物の分離精製については、不十分な結果となった。さらに[18F]FDOPAについては、[18F]FAMTでの精製実績を踏まえて同様の手順を想定していたが、こちらについてもまだ実施できていない状況である。 また、[18F]DPA714については、[18F]フルオロエチルブロマイドを用いた標識合成が可能であることは確認でき、また、標準品を用いたSPE条件まではおおむね確立できたが、[18F]DPA714では十分に検討はできなかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
[18F]FAMTについては、脱保護後の反応混合液を用いて、tC2、tC18、HLBなどの逆相系カラム及びSilica、NH2等の順相系カラムを用いて最適なカラムを調査する。また、脱保護後での精製が困難な場合は、脱保護前の反応混合液を用いて検討を行う。さらには、ボロン酸除去の技術を用いて引き続き前駆体などの不純物除去についても検討を行う。 最適条件を確立できた後、同様のプロセスにて[18F]FDOPAおいても検討を行う。 [18F]DPA714については、ふっ素化後の反応混合液を用いて標準品とtC2カラムで得られた最適条件にて分離精製を行う。十分な分離が確認された後、自動合成装置を用いた全自動合成プログラムを作成し、その品質を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[18F]FAMT合成については、新規前駆体の合成を達成できたが、[18F]FDOPAについては準備できなかったため、次年度に関連試薬や資材の調達を行い、検討を実施する。
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