今年度については、まず、昨年度に18F-からの合成に成功した[18F]FAMTについて、反応混合液からの固相抽出カラムを用いた[18F]FAMTの精製について検討した。逆相系のHLBカラムを用いて精製した結果、目的物の捕捉には成功したが、十分に精製された状態で溶出することはできなかった。反応液についてHPLCを用いた分取を実施したところ、目的物前後の保持時間に複数の不純物ピークが見られたことから、この中から目的物のみを溶出することは困難であると考えられた。 また、昨年度に検討した[18F]フルオロエチルブロマイドを介した[18F]-DPA-714の合成において、ふっ素化後の反応混合物の固相抽出カラム(SPEカラム)を用いた分離精製について最適化した。その結果、反応混合物(2mL)を注射用水(45mL)で希釈して全量をtC2カラムに通した後、30%エタノール水溶液(8mL)でカラムを洗浄後、同水溶液(10mL)にて回収することで、放射化学的純度99%以上及び比放射能は300GBq/umol以上で[18F]DPA714を得ることができた。また、今回、tC2カラムと30%エタノール水溶液を用いることで、最終製剤における前駆体の混入量は4ug/mLで、標準溶液の検量線より得られた総化学的不純物についても5ug/mL以下であったことから、固相抽出カラムのみで十分な精製が実施できることが確認できた。今回、[18F]フルオロエチル化における標識率が低く、最終目的物の放射能が少なかったことから、本工程における条件を最適化する必要がある。
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