研究実績の概要 |
1.体内金属ファントム:水ファントム(1辺20cm立方体)中央に金属クリップを留置した。2.単エネルギーX 線の決定:金属アーチファクトは、連続エネルギースペクトラムの通常X 線CT で撮像する場合に発生する。 dual energy CTは、最適な単エネルギーX 線選択で、金属アーチファクトの発生しにくい画像を作成しうる(Meyer E, 2012)。ファントム撮影は診断用 dual energy CT (Discovery 750HD, GE) を用いた。電子密度が既知のCT ファントムと金属ファントムを、X 線エネルギーを60kVから180kVまで10kV毎に変更して撮影した。視覚評価および金属クリップ近傍に設定したROIのCT値計測で、アーチファクトが最も減弱するのを140kVとした。3.CT 値・電子密度変換テーブルの作成:治療計画装置(Pinacle3,日立)で、単エネルギーX 線CT の電子密度変換テーブルを、40KeVから180KeVまで20KeV刻みで作成した。4.頭頸部癌に対して固定3次元照射で根治的放射線治療を実施し照射野内に歯科金属充填物を有する連続した15症例を対象とした。3で作成したテーブルで計算し、通常X線CTを用いた計算結果と比較した。過去の治療計画では、金属アーチファクト部分をROIと設定して既知のCT値(2HU)に変換して計算していたが、本研究では当該ROIを削除して再計算した。5.通常X線CTと比べた、単エネルギーX線CTでの各門のMU値の差は、全て0.2%以内であった。140kVと他のX線エネルギーを用いた場合が、差が最大だった。3次元治療計画における金属アーチファクトの影響は、無視できる範囲と考えられた。しかし140kVを用いたCTは、金属が存在する近傍であっても画像アーチファクトが少ないため、輪郭描画が正確にできると考えられる。
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