研究課題/領域番号 |
17K10364
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
佐藤 修平 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 教授 (30325104)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先天性心疾患 / 心臓CT |
研究実績の概要 |
本研究には岡山大学病院に導入されている128列マルチスライス型CT(SOMATOM Definition flash;シーメンス社製)を使用することとした。その理由は、本研究には高速で拍動する小児心臓を捉えるだけの時間分解能を有するCTが必須であり、同機はそれに相当すると判断したからである。まずは同機に搭載されている自動管電圧変調機構の動作確認をファントム実験を交えて行い、その結果を踏まえて先天性心疾患を有する小児に対する造影CTのプロトコールを決定した。 その後症例の蓄積を開始し、5歳以下の先天性心疾患患児連続338例をエントリーした。そのうち、100kV以上で撮影された2例、撮影時に体動が激しかった4例、造影剤漏れを生じた2例、緊急検査などでデータが欠落している43例を除外し、最終的に研究対象症例287例(70kV群 147例、80kV群 140例)を決定した。疾患の内訳は左心低形成症候群54例、両大血管右室起始症40例、肺動脈欠損症30例、ファロー四徴症30例、単心室症22例など多岐に渡った。それぞれの症例を従来の再構成法であるFBP法および逐次近似再構成法であるSAFIRE法で画像再構成を行った。 また、研究の途中で生じた以下の疑問点について追加の研究を行った。我々の施設での小児心臓CTは、検査のスループットなども勘案して原則として心電図非同期で撮影しているが、主治医の要請のあった場合などは心電図同期で撮影している。今後の研究において心電図同期の画像と心電図非同期の画像をまとめて研究対象にする必要が生じたため、冠動脈の描出能において両者を比較する研究を行った。その結果、視覚的評価においては描出能に大きな差はないことが明らかとなり、予定どおり両者を混在させて今後の研究を進めていくこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の途中で研究代表者の所属が変更になったが、以前の所属先の研究スタッフと協力しながら概ね順調に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られたFBP画像およびSAFIRE画像において、それぞれ上行大動脈、下行大動脈、主肺動脈、右肺動脈、左肺動脈、右室、左室などにWorkstation上で関心領域を設定し、CT値、SD値を測定する。それによってFBP群、SAFIRE群の各関心領域における吸収値とノイズを求めることができる。両者を比較することによって、SAFIRE群ではどの程度ノイズを減少させる効果があるか、そしてどの程度SNR(信号雑音比)を向上させているかについて検証を行う。またSAFIRE再構成のひとつの弱点とされている吸収値の低下がどの程度であるかも合わせて検証する予定である。更に被ばく線量を含めた70kV群、80kV群の比較も行う予定である。 また、対象症例のうち単心室症の症例については、ほぼ同時に造影を含めた心臓MRIも撮像している。単心室症を有する小児に対しての遅延造影MRIは世界的にもまとまった研究報告は少なく、これについても新たな知見が得られる可能性があると考え、追加の研究を行っていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の途中で研究代表者の所属が変更になったため、学会発表や学会での情報収集について変更が生じた。 平成30年度以降には、平成29年度に行えなかった学会発表や学会での情報収集を行う必要があるため、主にはその費用として使用を計画している。
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