小児心臓CTの低電圧プロトコール構築についての臨床研究を行った。具体的には、先天性心疾患を有する造影CT検査を行った連続338症例について、従来の再構成法であるfiltered back projection (FBP) および逐次近似再構成法のひとつであるsinogram-affirmed iterative reconstruction (SAFIRE) のそれぞれで再構成されたCT画像について後方視的に検討した。 画質の評価に関しては、FBP群とSAFIRE群において、吸収値は上行大動脈を除く全ての部位で有意にSAFIRE群の方がやや低下していた。ノイズは全ての部位で有意にSAFIRE群の方が低値であり、SNRは全ての部位で有意にSAFIRE群の方が高値であった。 またSAFIREで再構成された画像について70kVp群と80kVp群を比較したところ、吸収値は全ての部位で70kVp群が有意に高値であった。ノイズは肺動脈以外の部位では70kVp群の方が有意に高値であったが、SNRは全ての部位において両群に統計学的有意差は認めなかった。 被曝線量については、実効線量が70kVp群で1.04 ± 0.31 mSv、80kVp群で1.94 ± 0.39 mSvであり、70kVp群の方が有意に低値であった。 更に本研究を発展させ、心臓CTの流体解析を行うことによって、左室流出路狭窄などを伴う先天性心疾患症例に対してその予後予測を行う研究を岡山大学と共同して進めている。
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