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2017 年度 実施状況報告書

ラジオゲノミクス、定量的画像解析に基づく多角的な脳腫瘍診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K10365
研究機関九州大学

研究代表者

山下 孝二  九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)

研究分担者 栂尾 理  九州大学, 大学病院, 助教 (10452749)
樋渡 昭雄  九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
空閑 太亮  九州大学, 大学病院, 助教 (40759932)
吉本 幸司  九州大学, 医学研究院, 准教授 (70444784)
本田 浩  九州大学, 大学病院, 教授 (90145433)
平田 秀成  九州大学, 大学病院, 医員 (90721267)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード脳腫瘍 / ラジオゲノミクス
研究実績の概要

まず、後方視的に評価可能な画像データ収集および検討可能な画像パラメータの抽出を行った。MRI装置は九州大学放射線部の臨床用1.5Tもしくは3T MRI装置を使用した症例とした。当院における倫理審査委員会にて承認を得た後に収集を開始し、2003年までの解析にて膠芽腫症例は120例程度の画像データが使用可能であった。共通して使用可能なシーケンスは造影前後のT1強調画像および一部の症例にて拡散強調像から得られるみかけの拡散係数(ADC)値が使用可能であった。摘出された腫瘍標本より得られた遺伝子データに関しては後ろ向きにはIDH1やTERT遺伝子データが取得されていたため、TERT遺伝子変異の有無について画像所見の特徴を解析し、ASNR 55th Annual Meeting & NER Foundation Symposiumにて報告した。現在論文準備中である。
同時にMRI撮像パルスシーケンスの開発および最適化を行った。複数の遺伝子変異有無を予測するためにはより多くのパラメータを用いる事が望ましいが、単に撮像シーケンスを増やすだけでは撮像時間の延長につながるため、臨床現場で用いる際には撮像時間を減らす、つまりある程度撮像条件を限定することが求められる。ただし、発生部位や増強効果、細胞密度、腫瘍血流量や分子学的特性の情報が正確に得られるように、また、得られたデータより多くの特徴量が抽出できるように撮像シーケンス数、スライス枚数・スライス厚などを考慮し、撮像条件を設定した。また、臨床データとして年齢・性別、既往歴、血液データを記録する。倫理審査委員会承認後に脳腫瘍患者撮像を行い、前向きにデータ取得を行っている。これと平行して遺伝子情報のプロファイリングを行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

後ろ向き解析にて、120例程度の膠芽腫の画像データを収集でき、造影前後のT1強調画像および一部の症例にて拡散強調像を用いた解析が可能であった。摘出された腫瘍標本より得られた遺伝子データに関しては後ろ向きにはIDH1やTERT遺伝子データが取得されていたため、TERT遺伝子変異の有無について画像所見の特徴を解析し、ASNR 55th Annual Meeting & NER Foundation Symposiumにて報告した。現在論文準備中である。
前向き研究としては、倫理審査委員会承認を得て、画像データに関しては、灌流情報としてIntravoxel incoherent motion(IVIM)法、Arterial spin labeling(ASL)法、Dynamic susceptibility contrast(DSC)法を、またDiffusion-weighted imaging(DWI)法、MR spectroscopy(MRS)法、Susceptibiity-weighted imaging (SWI)法、Chemical exchange saturation transfer(CEST)法などを取得予定で。その他、単純CT、造影CT(CT灌流画像)、および必要に応じてポジトロン画像を撮像し、画像データ収集中である。併行して、手術症例の遺伝子データを取得・蓄積中である。

今後の研究の推進方策

MRを用いた脳腫瘍の単遺伝子変異有無の鑑別法・予後推定法の確立に向け、収集された脳腫瘍術前患者の画像データおよび遺伝子データを基に定量的な解析を行う。定量評価が困難である場合は、コンピュータ支援診断を行う事により遺伝子変異有無の予測を行う。具体的には人工神経回路であるニューラルネットワークを用いて学習させる事で診断システムの構築を行う。
また、MRを用いた脳腫瘍の複数遺伝子変異有無の鑑別法・予後推定法の確立に向けて、収集された脳腫瘍術前患者の画像データおよび遺伝子データを基に定量的な解析を行う。次世代シークエンサーによる高精度な解析により、膨大なデータ量となる事が予測される。通常の機器による解析が困難である場合もしくは多大な時間を要する場合は、スーパーコンピュータによる解析を検討している。科学技術計算を主目的とするコンピュータであり、ビッグデータ解析を可能とする。前年度までに得られた多数の画像データおよび膨大な遺伝子データを解析する事で特定の遺伝子変異の検出や予後推定法の確立を行う。
将来的にはPET/MRIを用いた評価も検討している。九州大学病院では平成25年度にPET-MRIが導入され、平成26年度より本格的な運用が開始されている。PET-MRIはMRIの高い濃度分解能をPET画像に反映することにより、レジストレーションや定量精度の向上がなされる。この事は、MRIから得られる細胞拡散、腫瘍血流量や分子学的特性の情報に高精度な代謝情報が加わることで包括的な画像診断が可能となり、脳腫瘍の悪性度や治療後の再発・放射線壊死鑑別など現在の画像診断における課題に対して詳細なデータを提供するものとされている。正確な位置情報をさらに組み合わせる事により遺伝子変異に基づいた腫瘍発生の起源に迫る事が期待される。

次年度使用額が生じた理由

備品購入の際に定価より割引があったため、少額の次年度使用額が生じたが、決定ベースは99.71%とほぼ計画通りとなっている。現在論文準備中であるため、英文校正もしくは雑誌によって投稿費用が異なるため、若干の余裕ももって英文校正や雑誌投稿が計画できるものと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] TERT promoter mutation prediction using support vector machine (SVM) in patients with wild-type IDH1 Glioblastoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Yamashita K, Hiwatashi A, Togao O, Kamei R, Hatae R, Yoshimoto K, Honda H.
    • 学会等名
      ASNR 55th Annual Meeting & NER Foundation Symposium 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Predicting IDH1 and TERT Mutation Status in the patients with Glioblastoma2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Yamashita
    • 学会等名
      AIMS Neuro Imaging 2017
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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