研究課題/領域番号 |
17K10368
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40322747)
|
研究分担者 |
平野 宏文 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00264416)
上村 清央 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (30593652)
熊澤 誠志 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50363354)
中條 正典 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (60727171)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | MRI / 脳腫瘍 / CEST / 分子イメージング / 画像診断 |
研究実績の概要 |
撮影条件の最適化およびB0不均一の補正法の検討を行った。それらの方法を使って、現在までに約20症例のグリオーマと10症例の転移性脳腫瘍について、chemical exchange saturation transfer(CEST)イメージングおよび通常のMRIの撮影を行った。得られたCEST画像から、各腫瘍内部での飽和パルスのオフセット周波数と信号強度の分布(Zペクトル)を取得することができた。また、それぞれの患者についての臨床情報と病理組織所見を収集している。 CESTのZスペクトルから、クレアチン、アミド、direct saturation、核オーバーハウザー効果を分離同定するソフトウエアの開発は遅れている。このため、スペクトルを分離せずに解析する方法を試行している。クレアチンを含むと考えられる2.0 ppm付近での信号強度とAPTによる3.5 ppmでの信号強度を比較することで、簡易的にクレアチンの信号の大きさを評価できないかを検討中である。 また、通常の画像ではしばしば鑑別がむずかしいglioblastomaと単発性脳転移をCESTの信号から区別できるか否かも検討を行っている。その結果、腫瘍の増強部分のAPTの信号については、glioblastomaの方が単発性脳転移に比べ高い傾向があることが分かった。クレアチンの信号による鑑別が可能か否かについても検討を行う予定である。 さらに、脳腫瘍のCEST信号の発生機序についても検討を行っている。腫瘍細胞内の代謝物質が信号の発生源と考えられてきたが、細胞外のタンパクや、血管内の血液も信号の発生に関与していることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CESTのZスペクトルから、クレアチン、アミド、direct saturation、核オーバーハウザー効果を分離同定するソフトウエアの開発が遅れている。これらの信号はスペクトル内で大きくオーバーラップしており、限られた信号/雑音比の中で正確に分離するのは容易ではない。
|
今後の研究の推進方策 |
CESTのZスペクトルからクレアチンを評価する方法を検討していく。同時に、腫瘍のデータの収集を進めていく。
|