研究課題/領域番号 |
17K10368
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40322747)
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研究分担者 |
平野 宏文 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00264416) [辞退]
上村 清央 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (30593652)
熊澤 誠志 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50363354)
中條 正典 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (60727171)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | MRI / 脳腫瘍 / CEST / APT / 分子イメージング / 画像診断 |
研究実績の概要 |
脳腫瘍患者の画像および臨床データの収集を継続して行っている。現在までに、計53症例(高悪性度神経膠腫46例、低悪性度神経膠腫7例)について、CESTイメージングを行った。これらから得られたMTR asymmetry(MTRasym)を解析し、0.5ppmから6ppmまで、0.5ppmごとに、そのオフセット周波数におけるMTRaysmを高悪性度神経膠腫と低悪性度神経膠腫の間で比較し、両者の鑑別における診断能をROC解析により評価した。その結果、オフセット周波数0.5ppmではAUC=0.509(P=0.948),1.0ppmではAUC=0.547(P=0.747)、1.5ppmではAUC=0.789(P=0.0022)、2.0ppmではAUC=0.764(P=0.0246)、2.5ppmではAUC=0.804(P=0.0068)、3.0ppmではAUC=0.888(P<0.0001)、3.5ppmではAUC=0.848(P<0.0001)、4.0ppmではAUC=0.547(P=0.7474)、4.5ppmではAUC=0.829(P=0.0001)、5.0ppmではAUC=0.807(P=0.0009)、5.5ppmではAUC=0.717(P=0.0420)、6.0ppmではAUC=0.773(P=0.0074)となった。APTの特異的周波数である3.5ppmよりかなり低い周波数(1.5ppm)から、悪性神経膠腫と良性神経膠腫の間に違いがみられ、3ppmで両者の違いは最大となり、4.5~6.0ppmでも両者の違いはある程度みられるという傾向が認められた。これらの結果から、悪性神経膠腫と良性神経膠腫の間には、APTとは異なる代謝物質の量にも違いが存在することが示唆された。 また、膠芽腫と転移性脳腫瘍の鑑別におけるAPTの有用性に関する研究を拡張し、腫瘍増強域の周囲のT2延長域での信号に着目して、両者の鑑別が可能かどうかを検討した。膠芽腫の場合、同部位には腫瘍細胞の浸潤が存在する可能性がある。その結果、2つの腫瘍の間に3.5ppmでのMTR asymmetryに有意な違いがないことが明らかとなった。腫瘍増強域での結果を合わせ、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像および臨床データが神経膠腫50症例以上、転移性脳腫瘍20症例以上集積されている。
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今後の研究の推進方策 |
CESTのZスペクトルからクレアチンを評価する方法の開発をさらに進めていく。また、脳転移など神経膠腫以外の腫瘍についての解析も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析ソフトウエアの開発にやや時間がかかっているため。解析ソフトウエアの開発関連の経費に充当する予定である。
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