研究課題
●CdTeアレーを使った1.5倍拡大撮影: 空間分解能の向上を目指して,0.1 mmフォーカスX線管により1.5倍拡大撮影を行い,約0.07 mmの空間分解能を実現した。●エネルギーサブトラクションプログラムの構築: スレッショルドエネルギーが異なる2つのRawファイル画像を差し引き,エネルギーサブトラクション画像を構成するプログラムを構築した。●CdTeアレーによるデュアルエネルギー(DE)CT撮影: 2値のスレッショルドエネルギーを設定して平均エネルギーの異なる2ファイルの断層像を撮影し,エネルギーサブトラ クションにより準単色撮影を行った。よって,ヨウ素(I)とガドリニウム(Gd)のKエッジCTでは, それぞれ33~50 keVと50~100 keVのフォトンを用いることになる。これら2種のKエッジ撮影法を用いて造影剤入りファントムを撮影し,画像コントラストの変化を確かめた。●高速エネルギー弁別検出器の基礎研究: CdTe,LSO-PMT,YAP(Ce)-μPMTなどの検出器に用いる複数の小型の高速増幅器を試作した。次に,Am 241から発生するγ線を用いてエネルギー分解能を測定し,カウントレートの向上をはかった。一般に,マルチチャンネルアナライザー(MCA)は1 μs以上のパルス幅を有するイベントパルスの波高分析に利用されるので,MCAでの測定値は実際の波高値よりも小さい値になる。よってパルス幅拡張器を作製し,エネルギー補正無しで,X線スペクトルを測定した。
2: おおむね順調に進展している
●CdTeアレーを使った1.5倍拡大撮影: 当初は2倍拡大撮影を予定したが,まずは1.5倍拡大撮影を行った。0.1mmフォーカスX線管を用いていることから,2019年度は2倍拡大を目指す。●エネルギーサブトラクションプログラムの構築: 当初はフォトンカウンティングのエネルギーサブトラクションを目指したが,アレーの詳細が明かされていないため,Rawファイルでのサブトラクションを行った。●CdTeアレーによるDE-CT: 研究テーマのクアッドエネルギー(QE)CT撮影は第一世代ではすでに成功している。アレーを用いてQE-CTを実現するにはDE-CTをスレッショルドエネルギーを変えて2度行えば可能である。しかし,実用的にはサブトラクションを含めてトリプル(TE)CTで十分であり,TE-CTの画質を向上し,撮影時間を短縮することが重要であると判断した。●高速エネルギー弁別検出器: CdTe検出器を用いた場合にはイベントパルス幅が1 μs以上となるため,最大カウントレートは100 kcps程度である。一方,YAP(Ce)-PMT検出器などから発生するイベントパルスの幅は100 ns程度まで縮めることができることから,1 Mcpsのカウントレートを比較的容易に達成できる。よって,コンパレーター回路の時間分解能を改善することにより,カウントレートが増し,画質が改善されると思われる。加えて第一世代CTの実験では4個の鉛製ピンホールを用い,散乱線を除去し,空間分解能を改善することができた。総じて当初の計画はほぼ予定通りに遂行され,研究成果に関する複数の論文もすでにアクセプトされている。
●CdTeアレーを用いたTE-CTの画質改善: DEのCdTeアレーを用いた場合にはエネルギーサブトラクションも含めてTEとなる。本研究ではX線管を固定し,X線スペクトル,検出器の位置,ターンテーブルの位置などを調整して,特にリングアーチファクトを低減することを目指す。●CdTeおよびYAP(Ce)-PMTを用いたエネルギー弁別X線CT画像の画質改善: カウントレートを増し,空間分解能を向上させ,トランスレーションステップを0.1 mmに設定し,さらに散乱線を低減することにより,第一世代CT画像の画質を改善する。●CdTeを用いた新しいエネルギー弁別X線CTの開発: 一般にX線スペクトルの実効エネルギーは被写体を透過することにより高まる。よって検出器に取り付けられた増幅器の最大出力電圧を固定し,検出器モジュール中の増幅器の増幅率を高めた際のプロジェクション出力を計算して画像再構成すれば,断層像の平均エネルギーは高まる。●YAP(Ce)-PMTを用いたビームハードニングX線CTの開発: X線フォトンのカウントによりPMTから発生される負のパルスを反転増幅する。次いで,前述のようにビームハードニングによりフォトンエネルギーの高い断層像を再構成する。●フォトンカウンティング・ビームハードニングX線CTの開発: 一般に,検出器の感度はフォトンエネルギーに比例する。このエネルギー依存を是正するため,すべてのフォトンをカウントしてビームハードニングを用いることにより,エネルギー弁別CTを試みる。
プログラム作成費の支払いが2019年5月になったため,見かけ上,予算が余った
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (25件)
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