研究課題
●CdTeアレーを用いたTE-CTの画質改善: デュアルエネルギーのCdTeアレーを用いた場合にはエネルギーサブトラクションも含めるとトリプルエネルギー(TE)になる。本研究では0.1 mmフォーカスX線管,ピクセルサイズ0.1mm のCdTeアレー,ターンテーブルなどを用いてTE-CTスキャナーを構築し,ほぼ良好な断層像が得られ,3D-CTも試みた。●CdTeを用いた第1世代エネルギー弁別X線CT画像の画質改善: カウントレートを増し,トランスレーションステップを0.1 mmに設定し,さらに散乱線を低減することにより,空間分解能を0.25mmまで改善した。次に1% at 59.5 keVのエネルギー分解能で,ヨウ素とガドリニウムの造影剤を用いてKエッジ強調撮影を行った。●CdTeを用いた新しいエネルギー弁別X線CTの開発: 一般に,X線スペクトルの実効エネルギーは被写体を透過することにより高まる。よって検出器に3台のアナログ増幅器を組み込み,最大出力電圧を5.0 Vに固定し,増幅率を増すことにより実効フォトンエネルギーを増加させた。TE-CTの実験では,高い空間分解能で実効エネルギーの異なる画像が得られた。さらに,デジタル増幅器を組み込んだTE-CTスキャナーも構築し,アナログ増幅器を用いた場合と同等の画像が得られた。●YAP(Ce)-PMTを用いたフォトンカウンティングビームハードニングX線CTの開発: YAP(Ce)-PMT検出器,極性反転増幅器,カウンターなどを組み合わせて,フォトンカウンティング方式のTE-CTを構築した。実験では20keV以上のフォトンをカウントし,最大カウント値を一定にしてカウント数を増幅することにより,良好な画像が得られた。
2: おおむね順調に進展している
●CdTeアレーを用いたTE-CTの画質改善: アレーを用いた場合には複数の画像を加えることにより,画質が向上する。本研究では720ファイルの画像を加えることにより画質を改善し,33-90,33-50,50-90 keVのエネルギー範囲で撮影し,コントラストの変化を確認した。●CdTeを用いた第1世代エネルギー弁別X線CT画像の画質改善: 汎用の冷却式CdTe検出器の最大カウントレートは50kcps程度である。実験では30kcpsのレートでヨウ素およびガドリニウムのKエッジCT撮影を行い,高コントラスト・高空間分解能で血管が撮影できた。●CdTeを用いた新しいエネルギー弁別X線CTの開発: CdTe検出器用の高感度トリプルアナログ増幅器を試作し,被写体でのビームハードニングを利用したTE-CTスキャナーを構築した。このスキャナーでは特別な画像処理を行うことなく,実効エネルギーの異なるプロジェクションデータを得ることができるので,準単色X線撮影が不要な場合には簡単に実効エネルギーを変えることができた。またアナログの代わりにデジタル増幅器を用いることによっても容易に実効エネルギーを変えることもできた。●YAP(Ce)-PMTを用いたフォトンカウンティングビームハードニングX線CTの開発: このTE-CTスキャナーでは検出器のエネルギー依存をほとんど考慮する必要がないため,上記のビームハードニングTE-CTと比較してコントラストは若干異なるが,増幅率の増加により,明らかに実効エネルギーが増加した。総じて当初の計画はほぼ予定通りに遂行され研究成果に関する複数の論文もすでにアクセプトされている。
●CdTeアレーを用いたTE-CTの最適化: この研究では0.1mmフォーカスX線管を用い,拡大撮影により画像を得るので,まず拡大率を1.0~1.5倍にして,管電流を最大の0.50 mAに調整する。次いで,アレーの増幅率をなるべく低くして,低エネルギーのX線フォトンを検出できるように調整し,スレッショルドエネルギーを33と50keVに調整してTE-CT撮影を行う。●第1世代TE-CTの空間分解能の向上: CdTeを用いた第1世代エネルギー弁別X線CTスキャナーのエネルギー分解能は1% at 59.5 keV程度であり,これ以上の改善は難しい。よって,ここでは0.1mmフォーカスX線管と鉛製ピンホールを用いて空間分解能を0.2mmまで向上させる。一方,YAP(Ce)-PMT検出器を用いた場合にはカウントレートを100kcps以上まで増すことができるので,フォトンカウンティングによるエネルギー弁別と被写体でのビームハードニング効果を組み合わせて,画質とコントラストの改善を行う。●汎用FPDを用いたTE-CTの開発: ピクセルサイズが0.05mmのFPDと0.1mmフォーカスX線管を用い,被写体でのX線吸収を利用したビームハードニングTE-CTを構築する。CdTeによるTE-CTの撮影結果と比較しながら,ビームハードニングによるKエッジ撮影の最適な撮影条件を検討する。
エネルギー弁別CTのプログラム作成が2020年度に延期されたため。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件)
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