研究課題
本研究は、代表者が新規に開発したCOX-2選択的阻害薬ニメスリド誘導体に着目し、COX-2イメージング剤の開発を行うことを目的としている。既に物理化学的性質評価、in vitro評価を終え、有力なCOX-2イメージング剤候補化合物であると結論付けたニメスリド誘導体を、放射性同位元素で標識し、in vivo評価を行うことによって、COX-2イメージング剤としての有用性を明らかにする。また、これまで得られた評価結果を比較考察することで、COX-2イメージング剤として求められる性質を追及していく。当該年度において、11Cあるいは125I標識合成に成功した5種の化合物の正常マウスによるin vivo評価はおおむね完了している。11C標識化合物3種に関しては、生体内分布評価、阻害実験、代謝物分析を行ったほか、ex vivo ARGや、PET撮像によって脳内の分布も評価した。その結果、パラ位にOMeを有する化合物に関しては、正常マウス脳における局所分布が確認された。125I標識化合物2種に関しては、正常マウスにおける生体内分布のほか、炎症モデルマウスを用いた生体内分布および、阻害実験を実施した。甲状腺への125I集積量を評価することにより、パラ位にヨウ素を導入した化合物に関しては安定である一方、メタ位にヨウ素を導入した化合物に関しては投与6時間後以降は分解している可能性を明らかにした。現在は病態モデルマウスによる評価を進行中で、炎症モデルマウスを用いた生体内分布実験を行っているほか、腫瘍モデルマウスでの評価も検討中である。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度では、『正常マウスを用いたin vivo評価』を計画した。具体的には、in vivo評価として、合成した標識化合物を正常マウスに投与する生体内分布実験、COX阻害剤との同時投与による阻害実験、および代謝物分析などであり、剖検法やex vivo ARGなどを中心に評価し、撮像装置の都合がつく場合、PETやSPECT画像を得ることも視野に入れていた。平成30年度の研究実施状況において、これら研究計画に含まれる実験をほぼすべて行うことができ、既に平成31年度に計画している『病態モデル動物を用いたin vivo評価』に進んでいることから、(2)おおむね順調に進展している と判断できる。
平成30年度において、当初の研究計画に従いおおむね順調に進展したことから、平成31年度においても当初の研究計画に基づき推進していく予定である。平成31年度では、『病態モデル動物を用いたin vivo評価』を計画した。具体的には、正常マウスを用いたin vivo評価結果を基に、病態モデル動物を用いた評価を行い、臨床使用への可能性を探る。病態モデル動物として、炎症モデルマウス・ラットおよび腫瘍モデルマウスを検討している。
(理由)次年度使用額は326,359円であり、おおむね予定通りに支出していると思われるが、消耗品の節約や値引きがあったほか、試薬の新規購入も抑えられたため、残額が生じたものと思われる。(使用計画)翌年度以降に請求する研究費とあわせ、当初の計画通り物品費を中心として使用していく予定であるが、計画上、サイクロトロンを用いた実験や学会発表なども含まれることから、出張旅費にも使用するとともに、論文としてまとめるために必要な謝金などにも使用していくことを視野に入れる。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) 備考 (2件)
Metabolic Syndrome and Related Disorders
巻: 16 ページ: 305-313
10.1089/met.2017.0131
Journal of Tohoku Medical and Pharmaceutical University
巻: 65 ページ: 49-54
http://www.tohoku-mpu.ac.jp/university/prize-university/13669/
http://www.tohoku-mpu.ac.jp/laboratory/hosya/