本研究は、代表者が新規に開発したCOX-2選択的阻害薬ニメスリド誘導体に着目し、COX-2イメージング剤の開発を行うことを目的としている。 既に物理化学的性質評価、in vitro評価を終え、有力なCOX-2イメージング剤候補化合物であると結論付けたニメスリド誘導体を、放射性同位元素で標識し、in vivo評価を行うことによって、COX-2イメージング剤としての有用性を明らかにする。また、これまで得られた評価結果を比較考察することで、COX-2イメージング剤として求められる性質を追及していく。 当該年度において、11Cあるいは125I標識合成に成功した5種の化合物の、正常マウスによるin vivo評価をさらに進めるとともに、当初の予定通り、病態モデルマウスによるin vivo評価も実施した。 11C標識化合物に関しては、炎症モデルマウスの炎症への集積が認められず、これは11C標識化合物の安定性によるものである可能性が高いことが明らかとなった。その一方で、125I標識化合物に関しては、特にパラ位にヨウ素を導入した化合物が生体内での安定性も高く、炎症モデルマウスおよび腫瘍モデルマウスにおいて、炎症、腫瘍への高い集積が認められた。 当該研究期間全体を通して、パラ位にヨウ素を導入したニメスリド誘導体の125I標識化合物は、有力なCOX-2イメージング剤候補化合物であることを見出すとともに、COX-2イメージング剤として求められる性質は、COX-2への選択的阻害活性に加えて、生体内安定性が非常に重要な要素となることを明らかにした。
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