研究実績の概要 |
乳房デジタルトモシンセシス(DBT)の画質は、主としてX線管振り角・断層撮影線量・画像再構成法・画像処理などにより影響を受けるが、各DBTシステムの画像生成過程は異なっており、画質に差異をもたらしている。中でも画像再構成法は、アーチファクト抑制やノイズ低減の観点からフィルター補正逆投影法(FBP)から逐次近似法(IR)に推移する傾向が見受けられる。今年度は画像再構成法の違いにおけるDBTの基本的性能を調べ,物理評価の観点から画質への影響の評価を行った。EUREF(the European Reference Organization for Quality Assured Breast Screening and Diagnostic Services)の品質管理ガイドラインを参考にEUREF準拠アーチファクト評価用ファントムを作成し、模擬病変が配置された乳腺ファントム(Tomophan TSP004)と併せて、Siemens 社製のMAMMOMAT Inspirationを用いて、①画像コントラスト(contrast-to-noise ratio; CNR)、②X,Y,Zの3軸方向の幾何学的歪み・空間分解能(full width at half maximum; FWHM) ③アーチファクト(ASF : Artifact Spread Function)を評価した。 その結果、画像再構成法がFBPからIRへの変更により、CNRの改善とX,Y,Zの3軸方向のFWHMやアーチファクト出現に変化が認められた。画像再構成法の違いにより臨床における病変描出に変化が生じる可能性があることが示唆された。DBTの被曝低減に向けた検討をするためには、画像描出能の特徴を把握した上で、臨床画像の画質を担保し、どこまで撮影条件の低減が図れるかの検証の必要がある。
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