研究実績の概要 |
本研究では、乳房デジタルトモシンセシス(DBT)の基本的性能・精度を検証し、さらにはその性能を維持するための品質管理方法について検討することを目的としている。DBTの画質は、主としてX線管振り角・断層撮影線量・画像再構成法・画像処理などにより影響を受けるが、各種DBTシステムの画像生成過程は異なっており、画質に差異をもたらしている。 本研究では昨年度に引き続いて、本邦で臨床使用しているDBTシステム4機種(HOLOGIC 、富士フィルムメディカル、Siemens 、GE社製 )を用い、DBTの①画像コントラスト(SDNR)、②X,Y,Zの3軸方向の幾何学的歪み・空間分解能(full width at half maximum; FWHM) ③アーチファクト(ASF : Artifact Spread Function) の評価を行った。その結果、画像再構成法の進歩によりSDNRの改善とX,Y,Zの3軸方向のFWHMやアーチファクト出現に各種DBTシステムでの違いがあり、臨床における病変描出に変化が生じる可能性があることが示唆されている。 今年度はこれらの画像描出能の特徴を把握した上で、新たにDBTの被曝低減に向けた研究を行った。臨床における撮影線量の現状調査を行い、DBTプロトコールの基礎特性を検証した。DBTの撮影条件の決定には自動露出制御機構(auto exposure control: AEC)が用いられ、これは初期設定でACR推奨ファントムにより調整されている。臨床画像においては [DBT AGD/2D AGD]値は被写体厚が薄いほど、高濃度乳房ほど高値を示していた。この結果から、被曝線量を一定にした条件でのDBTの撮影条件(管電圧、mAs値)変更を行い、一定の画質が担保できるか否かの検証を実施中である。
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