研究課題/領域番号 |
17K10377
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
木村 寛之 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50437240)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 繊維芽細胞増殖因子受容体 / PET/SPECT分子イメージングプローブ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、繊維芽細胞増殖因子受容体(Fibroblast Growth Factor Receptor, FGFR)に着目し乳がんや肺がん、膀胱がんの治療方針設定に資する質的診断用PET/SPECT分子イメージングプローブを開発し、さらに開発したプローブを用いがん化のメカニズム、薬剤耐性へのメカニズムを解明し、遺伝子情報を含んだ新規核医学診断法の開発、さらに分子標的薬の開発への効率的なワークフローを構築することにある。FGFRはFGFR1~FGFR4までのサブタイプがあり、様々ながんでの変異や過剰発現がみられている。代表例の一つとして、肺扁平上皮がんではFGFR1が過剰発現していると言われている。本研究では、FGFR1を標的としたPET/SPECT用分子イメージングプローブを開発することとした。 合成した化合物AのFGFR1への親和性を評価したところ、IC50値として94±31.0 (nM)と高い値を示した。一方、FGFR2、FGFR3 (K650E)、FGFR4への親和性は高くなく、化合物AはFGFR1への選択性が高いことが分かった。次に、化合物AのF-18標識化を試みたところ、低収率ながら目的の化合物を得ることができた。しかしながら、これ以上評価を進めることは困難と判断し、現在は新しい化合物の開発に着手している。 プローブの開発と並行し、モデル動物の作製を検討した。先ず、MDA-MB-134-VI細胞 (FGFR1過剰発現乳がん細胞)のFGFR1の発現をウェスタンブロットで確認した。次にこの細胞をBALB/c Slc-nu/nuマウスの乳腺に移植することで担癌マウスの作製を検討したが、がん細胞が生着しなかった。現在はエストラジオール投与下でMDA-MB-134-VI細胞の生着を観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化合物Aの開発は中断したものの、その後2種類の化合物B,Cの合成に成功しており、現在in vitro評価を進めている。また、薬剤設計を効率的に行うために、計算化学を導入した設計を行っている。PETプローブだけでなく、SPECTプローブの開発にも着手した。 担癌マウスの作製に関しては、タブレット状のエストラジオールを皮下に埋め込み、そこにMDA-MB-134-VI細胞を移植して生着を観察している。さらに、FGFR1が高発現している肺癌細胞を購入し、担癌マウスの作製を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
合成した2種類の化合物B,CのFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4への親和性と選択性の評価を行う。次年度はI-123を導入したSPECTプローブの開発も進める。有望な化合物であれば、標識化を行いin vivo評価へと進める。先ずは、正常マウスにプローブを投与して経時的に屠殺し、各臓器の重量および集積した放射能を測定する。非特異的な集積の有無を確認すると共に、プローブ候補化合物の基礎薬物動態解析を行う。この時点で動態の観点から望ましくない化合物であれば、再度薬剤設計からやり直す。創製した分子プローブについて、実験腫瘍細胞を移植したヌードマウスに投与し体内分布実験を実施する。腫瘍への集積性、血液腫瘍比、腫瘍肺比、腫瘍筋肉比、腫瘍肝臓比、腫瘍腎臓比を指標にプローブの選別を行う。さらに、非特異的な臓器への集積も評価する。投与後腫瘍肺比は2倍以上、その他の周辺臓器(筋肉・腎臓・血液など)比は3倍以上を目指す。また、標的部位に結合する既知の化合物あるいはプローブの非標識体を投与してインビボブロッキング実験も行い、腫瘍に集積した放射能の標的特異性について検討する。前述の検討で、腫瘍に特異的集積が示されたプローブについて、担癌モデル動物に投与して経時的にPETあるいはSPECTでイメージングを行い、腫瘍が描出可能かどうかを検討する。撮像が終わった後に動物を屠殺して臓器を摘出・集積した放射能を測定し、画像のシグナル強度と放射能集積の相関を調べる。
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