研究課題
【緒言】受容体型チロシンキナーゼの一種として知られている線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR1-4) は様々ながんにおいて過剰発現が認められ、腫瘍の増悪を助長していることが示唆されている。本研究では、FGFR1に対するPETプローブを開発することでFGFR1高発現腫瘍のイメージングを行えるようにするだけでなく、がんの進行度とFGFR1の発現との関連を解明し、さらにFGFR1特異的プローブの構造から更なるFGFRチロシンキナーゼ阻害薬の開発へと繋げることを目的としている。【実験方法】1. FGFR1標的PET分子イメージングプローブの設計・合成:FGFRファミリーに対して強い阻害作用を示すことが報告されているAZD4547を母核化合物として[18F]9を設計し、9と[18F]9を合成した。2. インビトロキナーゼ阻害活性評価実験:9およびFGFR1を室温でインキュベートし、ATPから変換して生成したADP量を化学発光として測定することで9のFGFR1に対する阻害活性評価を行った。3. インビボ生体内分布実験:FGFR1高発現肺がん由来細胞種であるH520細胞を皮下投与した担がんモデルマウスに[18F]9を投与し、投与後60分および120分における各臓器の放射能を測定した。【結果】9は8段階で合成し、1H-NMR, 13C-NMR, HRMS, IRにより構造確認を行った。[18F]9は8を標識前駆体として2段階で合成し、HPLCにより化合物の同定を行った。合成した9は母核化合物であるAZD4547の2-3倍のIC50値でFGFR1を阻害した。また、[18F]9は投与後様々な臓器へ集積したが、特に腫瘍への滞留性が観察され、投与後120分において比較的高い[腫瘍/血液]比、[腫瘍/肺]比、および[腫瘍/筋肉]比を示した。
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