研究課題/領域番号 |
17K10390
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
Tha KhinKhin 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (20451445)
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研究分担者 |
杉森 博行 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (20711899)
菊地 英毅 北海道大学, 大学病院, 助教 (60463741)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 導電率 / 肺 / 非侵襲 / MRI |
研究実績の概要 |
導電率は各構造物が持つ物理特性であり、組織・疾患間で異なる。導電率情報を非侵襲的に取得できれば、疾患の非侵襲的診断の補助が期待される。本研究は、肺腫瘤における非侵襲的導電率イメージングの確立に挑戦することを目的としている。初年度(平成29年)では、(1)研究プロトコール作成及び自主臨床試験認定の申請、(2)肺MRIによる導電率に用いるファントムの作成、(3)肺MRIの位相画像から肺腫瘤のボクセル毎の導電率を示す非侵襲的イメージングの確立、(4)肺MRIを用いた非侵襲的導電率イメージングの正確性の検討、を予定した。実施状況は以下通りである。 (1)研究プロトコールを作成し、北海道大学病院の自主臨床試験認定申請をした。平成29年12月に認定を得た。 (2)ファントムを作成し、自然呼吸に近い条件下で導電率画像を撮像した。息止め状態と呼吸下間での導電率の違いについて検討した。 (3)研究協力者のKatscher氏の北大訪問の際に、上記ファントムデータや健常人被験者を用いた肺MRIの位相画像から導電率測定をし、基本となるアルゴリズムを作成した。そのアルゴリズムを用いて肝病変の導電率測定を試みるとともに、今まで撮像された肺腫瘤症例の導電率測定を行った。現在はこれら条件に合うようにアルゴリズム改良を行っているところと様々なPC環境下(WindowsやLinux)で解析できるようにプログラムを調整しているところである。 (4)ファントムを用いて、非侵襲的導電率イメージングにて求められた導電率と電極を用いたex vivo 導電率測定による導電率を比較し、肺MRI を用いた非侵襲的導電率イメージングの正確性を検討した。肺腫瘤検体が得られたらその検体を用いて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(平成29年)では、(1)研究プロトコール作成及び自主臨床試験認定の申請、(2)肺MRIによる導電率に用いるファントムの作成、(3)肺MRIの位相画像から肺腫瘤のボクセル毎の導電率を示す非侵襲的イメージングの確立、(4)肺MRIを用いた非侵襲的導電率イメージングの正確性の検討、を予定している。現時点で(1)と(2)を終了している。(3)はおおむね予定通り終了しているが、実際の肺腫瘤の画像データを用いてアルゴリズム改定を行っているところと様々なPC環状下(WindowsやLinux)で画像解析できるようにプログラムを調整している段階である。(4)ファントムを用いた検討を終了しているが、肺腫瘤検体がまだ得られず、検体を待っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年では、(1)肺MRI の位相画像から肺腫瘤のボクセル毎の導電率を示す非侵襲的導電率イメージングの確立、(2)肺MRI を用いた非侵襲的導電率イメージングの正確性の検討、(3)肺MRI による非侵襲的導電率イメージング撮像パラメータの最適化、(4)臨床試験を行う。 (1)実際の肺腫瘤の画像データを用いてアルゴリズム改定と様々なPC環状下(WindowsやLinux)で画像解析できるようにプログラムを作る。 (2)肺腫瘤検体を用いて、非侵襲的導電率イメージングにて求められた導電率と電極を用いたex vivo 導電率測定による導電率を比較し、肺MRI を用いた非侵襲的導電率イメージングの正確性を検討する。 (3)患者の負担の少ない条件 (自由呼吸またはできるだけ短い息止め時間)下で、アーチファクトのない高解像度画像を提供するための撮像パラメータの最適化を行う。具体的にはボランティア撮像を行い、異なる条件下での画質を比較し、最適な撮像パラメータを選択する。パラメータ最適化はMRI 撮像経験やMRI 画像評価経験が豊富な研究者が担当する。 (4)肺MRI による非侵襲的導電率イメージングは、肺腫瘤診断に役に立つ指標になり得るかを明確にするための臨床試験を行う。異なる病理組織を持つ肺腫瘤の術前導電率イメージングを行い、MRIによる導電率は肺腫瘤間で異なるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度では導電率画像解析のためのパソコン購入を予定していたが、現在研究協力者による解析アルゴリズムの改良中である。改良後にそのアルゴリズムに合う環境を持つパソコンを購入する。また、研究の進行状況により研究協力者との打ち合わせを平成30年6月に変更した。そのため、平成29年度は海外旅費は予想金額より少なかった。その金額を平成30年度の研究実施の際に有効に使う。
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