X線透視撮影下によるInterventional Radiology(IVR)は、患者の救命や生命予後改善等に極めて有用であり広く普及しているが、IVR時の被曝線量増加が重大な問題となっている。さらに一般X線検査などの低線量な医療被曝に対しても国民の関心は非常に高い。そこで当研究課題では一般撮影からIVRまで測定可能な線量計の高感度化、すなわち低線量被曝も正確に測定できる高感度リアルタイム被曝線量計の開発を行うことが目的である。センサー部の小型化と良好な方向依存性を兼ね備えた検出部の開発を目指す。さらに通信機能を備えるなどの多機能型の高感度リアルタイム被曝線量測定を行うシステムへの展開を目指す。そのための2019年度は以下の検討を行った。(研究協力者:千田浩一) 1.開発した通信機能付きの高感度リアルタイム被曝線量システムの性能評価:開発した線量データ等の無線通信機能(Bluetooth)付きの線量計の基本性能評価を実施した。この開発した線量計を、IVR臨床装置を用いて詳細な検討を行った結果、良好な性能を有していることが確認できた。すなわち臨床IVR装置室においても、良好な通信機能および通信状態を示し、また臨床機器からのノイズ等の混入も無かった。さらに線量計の再現性やチェンバー均一性が優れ、また線量計測定値とDose Area Product (DAP) および Air Kerma (AK)の直線性が良好であることなどを確認できた。 2.成果の報告:開発した高感度リアルタイム被曝線量システムに関する成果等について学会発表を行った(国内学会1回、国際学会1回)。さらに英文査読付き論文を2編投稿することができた。 3. 特許出願:開発した高感度リアルタイム被曝線量システムについて特許出願を行うことができた。
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