研究課題/領域番号 |
17K10395
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小坂 信之 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (60397247)
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研究分担者 |
木村 浩彦 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (10242596)
黒川 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (60334835)
金本 雅行 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 診療放射線技師 (60730728)
藤原 康博 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 講師 (90422675)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | MRI / 子宮 / arterial spin labeling |
研究実績の概要 |
本年度は腹部用ASL MRIシーケンスの開発と子宮胎盤ポリープ/遺残胎盤のASL-MRIによる血流評価を行った。シーケンスの開発については、まず本院MRI装置のソフトウエア更新が施行されたため、既存の腹部用ASL-MRIシーケンスの調整と最適化を本研究費で改良した血流ファントムと健常ボランティアで行い、更新前と同等の画像を得ることができるようになった。さらには、新たな腹部用ASL-MRIシーケンスとして、中枢神経で用いられるHadamard encodingの手法を腹部用ASL-MRIシーケンスに導入し、健常ボランティアにおいて子宮と同じ腹部臓器である腎臓での定量的なASL画像の撮像に成功した。この手法は、複数の異なるラベル後待ち時間の画像を同時に短時間で収集する事ができ、Compartment解析による血流量の定量化を容易に行うことができる。このような血流の定量化は臨床応用には不可欠であり、将来的に有用な手法となりうると考えている。また、以前より臨床研究を行っている胎盤ポリープ/遺残胎盤のASL-MRIでの血流評価を引き続き行い、臨床例のデータを解析した。本法で得られる血流情報と、造影MRIやドップラー超音波で得られる血流情報を比較し、ASL-MRIの妥当性を証明する事ができた。さらにはASL-MRIでの胎盤ポリープの治療効果判定の実現可能性も示すことができた。本研究で得られた成果の一部を用いて、子宮の最先端MRI撮像法の一つとして、子宮ASL-MRIに関する総説を執筆し、雑誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本院のMRI装置ソフトウェアの更新のため、arterial spin labeling用のMRIシーケンスの調整が必要であったため、やや遅延が生じている。ただし、現在はシーケンスの調整とテストは終わり、今後の進捗には影響はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画調書に沿って研究を進めていく予定である。シーケンスの開発については、その最適化、妥当性および臨床的有益性の検討をファントムや健常被検者において今後も行っていく。具体的にはHadamard encodingを用いたASL-MRIと、従来の多重撮影ASL-MRIを、子宮だけでなく、腹部の多血性臓器である腎臓で比較検討を行う予定をしている。これによりこの新しいASL-MRIシーケンスの妥当性を検証する事ができる。また、健常被検者での月経周期における血流変化の評価をASL-MRIで行い、今後の基礎的なデータとする予定である。これら基礎データが順調に得られれば、不妊症の患者群や胎盤血流の評価など、さらに臨床的な内容に踏み込んで研究を行っていく予定である。また、胎盤ポリープの血流評価については、今後も症例を増やし検討を行っていく予定であるが、初期経験においてある程度まとまった結果が得られているので、初期報告として雑誌等に発表を行う予定である。
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