研究課題
核磁気共鳴画像(MRI)は近年、形態診断のみでなく機能診断への応用が進んでいる。一方で複数回の呼吸停止や長い撮像時間が必要であり、患者の苦痛軽減や臨床現場における検査効率の向上のため、スループットの改善が強く望まれている。本研究では特に長い検査時間を必要とする上腹部領域のMRI撮像において、圧縮センシングとパラレルイメージングを相補的に併用した超時短MRI撮像技術を臨床応用し、超時短プロトコルの最適化と標準化を行うことを目的としている。高速撮像法では、時間分解能と空間分解能のどちらを重視するかが重要となる。我々は、時間分解能の向上を重視した研究として、呼吸停止時間に制限のある肝臓ダイナミック撮像と撮像時間が長い磁気共鳴胆管膵管撮像(MRCP)、空間分解能の向上を重視した研究として、Gd-EOB-DTPA造影剤を用いた肝細胞相撮像、について従来撮像法との比較検討を行った。肝臓ダイナミック撮像においては1時相の撮像時間を従来の約1/2と短縮したが画質は定量・定性解析ともに同等もしくはそれ以上であり、撮像時の長時間呼吸停止が困難な患者への応用が期待される結果であった(Magn Reson Imaging. 2019;57:111-117.)。またMRCPにおいては従来の撮像時間の約1/4に短縮しても診断画像として充分な画質が担保されることを示した(Abdom Radiol (NY). 2019;44(5):1766-1772.)。さらに肝細胞相撮像においては同一呼吸停止時間とした場合、従来法に比し約2倍の空間分解能が得られるため、診断能向上に寄与する可能性が示唆された。今年度、我々は、個々の撮像シークエンスの時間短縮・最適化に加え、撮像シークエンスの省略によるプロトコル自体のスリム化を行うことで超時短プロトコルを構築した。同内容は第28回国際磁気共鳴医学会にて発表予定である。
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Magnetic Resonance Imaging
巻: 57 ページ: 111-117
10.1016/j.mri.2018.11.004.
Abdominal Radiology
巻: 44(5) ページ: 1766-1772
10.1007/s00261-018-01886-0.