研究課題
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術によるEVAR(endovascular aortic repair)治療は、その低侵襲性から、近年多用されるようになった。それに伴い、エンドリーク(EL)などの術後合併症が問題となってきた。本研究ではMRIを用いた4次元流速解析(4DFLOW)を駆使し、EVAR後の合併症の超早期検出と高精度病態解明で、安全なEVAR実現への道筋を拓くことが目的である。当初の二年間で、TypeII ELの責任動脈の血行動態について4D FLOWで解析した。EVAR施行の107例でCT angiography(CTA)と4D FLOWが同時期に施行され、一年後の動脈瘤径がCTAで計測された。1週間後36.4%でtype II ELが生じていた。その内28症例が1年後にCTAと4D FLOWで再評価された。7症例が動脈瘤の増大を認め(増大群)、21症例は動脈瘤の増大は見られなかった(非増大群)。7日目には, 28症例は 4DFLOWにて80本のtype II ELを検出したが、39本は1年の経過でflowが消失し、41本はflowが持続した。 持続群のうち、動脈瘤増大群では責任動脈の内部最高流速とその振幅が有意に大きかった。EVAR後の動脈瘤の予後はTypeII ELの責任動脈の血行動態からある程度予想ができる可能性がある。最終年度には、更に14例のEVAR症例を検査し、データ解析中であるが、新たな知見として、typeを問わずELの検出能において多時相3D MR angiographyの有用性が認められた。EVAR後に瘤内に造影剤の逸脱があることでELの有無を判定するのはCTAと同様であるが、MRIの造影剤感度の良さと電離放射線被曝が皆無であることから、高時間分解能でしかも、撮像時間を自由呼吸下で十分に長く設定可能な事によると思われる。
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Magn Reson Med Sci.
10.2463/mrms.mp.2019-0089
Magn Reson Med Sci
10.2463/mrms.mp.2019-0107
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