研究課題/領域番号 |
17K10401
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木戸 晶 京都大学, 医学研究科, 助教 (80595710)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胎盤 / MRI / IVIM |
研究実績の概要 |
本研究では、妊娠高血圧症候群患者と診断された妊婦に対して、胎盤MRIを撮像し、得られた各種画像データから妊娠の転帰良好と予想される群、不良と予想される群とに層別化することにより、臨床的に各々の群に適した対応を発症早期からとることが可能となることを目的としている。 妊娠高血圧症候群患者は、症例数が少ないことから、この結果をまとめるためには時間を要すると判断した。そのため、患者収集と並行し、過去に蓄積された症例に関し、intravoxel incoherent motion(IVIM)から導かれるfactorであるf値・D*値・D値、及びT2値、T2強調像から計測される胎盤体積、胎盤厚・胎盤床の長さ・面積を計測が胎盤機能をどの程度反映するかを先に検討し、妊娠高血圧症候群患者検討の際の基礎資料として使用することとした。24週から40週の妊娠患者でMRIを撮像された68例を対象としてドップラー超音波検査による臍帯動脈のP血管抵抗を示すpulsatility index(PI)をゴールドスタンダートとする。68例を低出生体重児群と妊娠経過に異状なく正期産のコントロール群に分類し、上記MRIから得られる値とPIを比較検討し、最も胎盤機能を反映する値を抽出する検討を開始している。前年度は撮像法を確立したが本年度はよりバイアスの加わらない方法で上記値を測定するためのROI計測自動化の手法を確立した。これにより、T2値計測のROIとIVIM各要素計測のROIを同一にすることが可能となった。現在、結果の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRI撮像の環境整備は前年度に整えられ、本年度は解析方法が確立された。 、妊娠高血圧症候群患者は数は蓄積されているものの頻度が少ないため、解析の基礎資料とする検討を開始している。こちらは、既に計測を開始、結果のまとめの段階であり、一定の結果を導くことが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、これまで以上に当院産婦人科医師と密なコンタクトをとりながら、妊娠高血圧症候群患者に関し、MRI検査のオーダーを頂くよう依頼する。また、患者の臨床データ(胎児発育不全の程度(SD)、出生児体重(percentile)、胎盤病理所見、MRIから出産までの日数、緊急帝王切開の有無、出産後の児の退院までの日数、等)は個人情報保護法に基づいて、これまで通りカルテ内にデータとして蓄積し、症例数が達し次第、解析のできる状態とする。基礎資料として用いる過去症例からの胎盤機能を反映する値の検討については、IVIMから導かれるf値・D*値・D値、及びT2値、拡散強調像から得られるADC値、T2強調像から計測される胎盤体積、胎盤厚・胎盤床の長さ・面積のうち、PI、出生予後との関係から比較検討に必要な項目の絞り込み、週数による値の補正方法の検討(Zスコアの利用等)を行う。その上で、上記の如く低出生体重児群と妊娠経過に異状なく正期産のコントロール群で各数値を比較し胎盤機能を最も反映する要素を抽出する。本結果も、結果、考察ができ次第学会、論文へ報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象症例の蓄積がまだ解析に十分な数に達していないため、今後、症例収集後の解析の費用、学会、論文への発表が予定されている。また、基礎資料となる解析を進めており、次年度はそのための旅費等の発生が予想される。
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