本研究は磁気共鳴画像(MRI)における実効横緩和率(R2*値)を臨床での肝疾患の病態評価に応用するために、適切な正常基準値の設定し、収集方法の標準化を検討するものである。 令和2年度は本課題の最終年度であり、前年度までに得られたMRIにおける腹部臓器の実効横緩和率(R2*値)の正常基準値に関するデータをまとめ、まず2020年12月の北米放射線学会に演題を投稿するための抄録を作成した。演題のタイトルは、”Assessment of R2* Value in Normal Liver Parenchyma Using Confounder-Corrected Chemical Shift-Encoded MR Imaging”とし、本研究の結果をもとに肝実質のR2 *値の正常範囲の評価がさまざまな種類の肝疾患のより正確な診断の改善に貢献する可能性があることを述べた。しかしながら、本演題は残念ながら採択されず北米放射線学会で発表することはできなかった。このような状況をふまえ、非採択であった原因を考えるとともに改めてデータを見直し、追加データの必要性等についても検討を行った。今後、別の学会での発表を検討し、また、最終的には学術雑誌に投稿すべく論文作成の準備を進めた。 また、今年度は新たにウイルス性肝炎など疾患を有する群におけるR2*値などの測定についても検討を開始したが、検討すべき項目が多く、限られた時間内に全体をまとめることは難しいように思われたため、これはまた別の枠組みの研究として遂行していく方がよいように考えられた。
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