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2017 年度 実施状況報告書

APTイメージングによる高悪性度グリオーマの治療モニタリングと予後因子の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K10410
研究機関九州大学

研究代表者

栂尾 理  九州大学, 大学病院, 助教 (10452749)

研究分担者 樋渡 昭雄  九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
空閑 太亮  九州大学, 大学病院, 助教 (40759932)
吉本 幸司  九州大学, 医学研究院, 准教授 (70444784)
山下 孝二  九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)
本田 浩  九州大学, 大学病院, 教授 (90145433)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードグリオーマ / MRI / 分子イメージング / CEST
研究実績の概要

CESTイメージングは新たなコントラストに基づくMR分子イメージング法 であり、その臨床応用が大きく期待されている分野である。この方法は溶質とバルク水の間で生じるプロトンの化学的交換を利用することで、低濃度溶質を高感度にて検出することができる。内因性CESTイメージングのうち、特にバルク水から+3.5 ppmの共鳴周波数を持つアミドプロトン(-NH)を対象とした画像法をAmide Proton Transfer(APT)イメージングと呼び、この手法により組織中の可動性タンパク/ペプチドに基づくコントラストを非侵襲的に得ることができる.現在、我々はこのAPTイメージングの撮像法の開発および脳腫瘍における臨床応用に取り組んでおり、2DのAPTイメージングの撮像法の確立と再現性の確認やグリオーマの悪性度診断における有用性を示してきた。グレード2-4のグリオーマにおける検討では、腫瘍の組織学的悪性度の進行とともにAPT信号が有意に上昇し、その診断およびモニタリングに有用と考えられた。次の目標としては臨床で容易に用いることのでき、かつ再現性の高い多スライスの撮像法の開発があげられる。本研究ではAPTイメージングのさらなる臨床応用を進め、その有用性を検討する。本研究の主な目的は以下の3つである。1)3D APTイメージングシークエンスの開発と撮像条件の最適化、2)グリオーマにおける化学放射線療法後のモニタリング法としての有用性の検討、3)悪性グリオーマの予後因子としてのAPT信号の有用性の検討

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の目標は臨床で用いることのできる3D APTシークエンスの開発と最適化であった。現時点では以下の3項目が達成されており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
1)3Dシークエンスの開発:従来用いてきた2D APTシークエンスはシングルスライスの撮像であり、経時的評価には向いていなかった。3DシークエンスにはB0不均一性の補正が難しいことと長い撮像時間という問題点があり、実用化が制限されていた。本年度はこれらを克服する新たな3D APTシークエンスの開発とその最適化を行った。開発されたパルスシーケンスは、卵白のファントムを用いたテストを行ったのち、少数例の実際の脳腫瘍症例において、飽和パルスやB0マッピングのパラメータを変えながら撮像し、最適な条件を決定した。

2)3Dシークエンスにおける最適な飽和パルスデザインの決定:APTイメージングのパルスシーケンスにおいて最も重要なのは、飽和パルスのデザインである。飽和パルスの強度や長さは比吸収率(SAR)などの安全基準やduty cycleなど装置の制限を受ける。この制約の中で最適な飽和パルスのデザインを行った。装置のdutyサイクルの制限下で長い飽和パルスを可能にするため、多チャンネルRF送信技術による飽和パルスを採用した。

3)3DにおけるB0補正法の開発:APTイメージングはB0の不均一の影響を受けやすく、正確な評価のためにはその補正が不可欠である。また3D撮像では撮像時間が長いため、体動による位置ずれが問題となる。我々はDixon法によるB0補正法を開発した。これはAPTイメージとB0マップを同時に取得できるというメリットがあり、3Dでの使用に適していると考えられる。最適なDixonのΔTEや周波数オフセットの数、間隔、撮像枚数なども検討した。

今後の研究の推進方策

本年度は高悪性度グリオーマの放射線化学療法の治療モニタリングにおける有用性の検討を行う。以下の3点について検討する。1)放射線治療とテモゾロミドの併用療法における真の腫瘍進行と偽進行の鑑別。放射線治療とテモゾロミド併用治療を行う患者を対象とし、治療前、治療開始後6週間、その後テモゾロミド1コースごとにAPTイメージングを撮像する。治療開始後3ヶ月以内に新たに出現したガドリニウム増強域あるいは増大した増強域について経過および他の画像所見との比較を行いながら、真の腫瘍進行か偽進行かを判定する。この両者においてAPT信号に違いがあるかどうかを検討する。2)ベバシズマブ投与後の腫瘍モニタリングにおける有用性の検討
ベバシズマブによる治療を行う患者を対象とし、治療前、治療開始後4週間ごとにAPTイメージングを撮像する。治療開始後のAPT信号の変化が治療有効群と進行群の間で差があるかどうかを検討する。治療効果は経過あるいは他の画像所見を合わせて総合的に判断する。3)放射線治療後の腫瘍再発と遅発性放射線壊死の鑑別。放射線治療後に経時的にAPTイメージングを撮像する。治療開始後3ヶ月以降に新たに出現したガドリニウム増強域について経過、他の画像所見、病理組織などにより真の腫瘍進行か遅発性放射線壊死かを判定する。この両者においてAPT信号に違いがあるかどうかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

予定していたハードディスクの購入を次年度に変更したため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Amide proton transfer imaging of brain tumors using a self-corrected 3D fast spin-echo Dixon method: comparison with separate B0 correction.2017

    • 著者名/発表者名
      Togao O, Keupp J, Hiwatashi A, Yamashita K, Kikuchi K, Yoneyama M, Honda H.
    • 雑誌名

      Magn Reson Med.

      巻: 77 ページ: 2272-2279

    • DOI

      10.1002/mrm.27074.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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