研究課題/領域番号 |
17K10413
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
酒井 晃二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20379027)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳活動 / 脳血流量 / 脳温度 / MRI / 脳脊髄液 / 拡散強調画像 |
研究実績の概要 |
本研究は、グローバルな脳活動―脳血流量―脳温度の関係をMRI(Magnetic Resonance Image)のみを用いて計測する手法を開発することを目的とし、脳の状態観測指標を新たに提供することにより、加齢等に伴う脳機能・活動の変化を簡便に捉えることを目標とする。 本年は、脳深部温度計測に影響を与える計測手法の調査を目的に、拡散強調画像とMRスペクトロスコピーにより得られた脳温の関係からCSF流速の影響を健常者70名(20-60代各男女35名)で計測した。脳温をCSFの最大流速時と最小流速時およびランダムに撮像したDWIから計算し、比較することによりCSFの流れの影響を検証し、国際会議での発表に採択されている。 結果として、CSF流速の影響は限定的であり、流速の大小、ランダムさによらずDWIから計算した脳温度を利用できることが分かった(CSF流速の影響を考慮した脳温の間に有意差は認められなかった)。 MRIを用いた脳内深部温度計測の基礎となる拡散強調画像法(DWI)を用いた研究について、論文・解説記事を発表し、MRI領域におけるRadiomics研究との関連についてもレビューを行った。さらに、DWIの安定測定、高速測定法、最新研究などについて国内外の学会で報告を行い、これまでの脳深部温度計測について他国の学会において招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年来、脳深部温度計測に影響を与える要因の調査を目的に、くも膜下出血患者の出血位置および脳温と腋下温の関係からCSFへの血液の混入の影響をレトロスペクティブに調査すること、および、健常者50名(20-60代各男女5名)の脳温をCSFの最大流速時と最小流速時およびランダムに撮像したDWIから計算し、比較することによりCSFの流れの影響を検証することを計画し、概ねその計測を終えた。加えて、MRスペクトロスコピーから得られる脳温度との比較を行い、国際会議に採択されている。パーキンソン病や肝臓移植患者等の健常者以外の脳温度計測を実施し、一部を学会、論文等で報告した。また、小児の低体温療法に関する応用のための撮像も開始された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的通り、計測した健常者に関するデータをまとめて論文化する。さらに、CMRO2およびCBF計測の至適撮像条件を決定する。方法として、健常者10名(男女各5名)により、CMRO2およびCBFの安定計測するためのMRI撮像条件を検討する。CBF計測は位相コントラストの差により行われるが、年代の異なる被験者で調査することにより、適切な流速幅に対応できるようにする。具体的には、dwell time, flip angle, VENC, Repetition timeなどのパラメータの最適化を行う。得られたCBF値から次式によりCMRO2を得る。CMRO2=CaCBF(SaO2-SvO2)、Caは酸素濃度、SaO2は動脈の酸素飽和レベル、SvO2は静脈の酸素飽和レベルである。結果は、PET検査等で得られたこれまでの知見と比較・検証する。小児についても検討する計画を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会参加、出張を伴う実験、ファントム作成の時期が新型コロナウィルスの影響により中止または延期になった。また、ボランティアのMRI撮像が同様の理由により延期となった。そのため、それらに係る経費の支出も事態収束後に延期となった。 来年度内に新型コロナウィルスの影響が収束次第、上記の理由で延期となった研究活動を再開して支出を行う。また、既存の画像データを収集して解析手法の開発を行うなど、研究手法の追加変更により使用方法を工夫する。
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