研究課題/領域番号 |
17K10414
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山田 惠 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315960)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | MRI / 拡散強調画像 / アルツハイマー病 / 教師付き機械学習 / deep learning |
研究実績の概要 |
本研究費による研究成果は以下の三つに大別することが可能である。すなわち、 ①MRI の撮影手法や画像解析に関する研究成果 ②アルツハイマー病の病態解析に関する研究成果 ③機械学習に関する研究成果 の三者である。これらの研究は三者が概ね独立した形で進められてきたが、一部はオーバーラップを有する。これらに関する詳細は後の項目に記載する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前出の三つに大別される研究成果について項目立てて記載する。 ①MRI の撮影手法や画像解析:拡散強調画像の変法であるq-space imaging に関する研究を行い、従来法と比べて大幅に時間を短縮する手法を発表した。撮影時間短縮のもう一つの決め手が多断面励起法 (Simultaneous Multi-Slice; SMS) であり、当研究チームで臨床症例にて良好な結果を得た。またTRACULAと呼ばれる拡散強調像の処理法や、脳の segmentation の方法に関する研究を発表した。さらには拡散強調像を用いた温度測定に関しても検討を進めた。その結果に関しては次のセッションで触れる。 ②アルツハイマー病の病態解析:高解像度のMRI 画像を解析するで様々な部位における体積低下が生じている事をあきらかにした。例えば松果体の体積が有意に低下している事を示した。ほかにも頭頂葉楔全部の低下が生じることを示した。これらの部位は睡眠と関連しており、機能不全となることで睡眠の質が低下し、さらにはこれが病態進行の促進に繋がっている可能性が考慮された。また様々な臨床テストにおける成績が脳のどの部分と対比するかに関しても研究が行われ、特定の部位の大脳皮質の体積低下が示された。さらには患者群における脳温測定を行ったが,対象群と差がないことが示された。これは恐らく脳代謝と脳血流が共に低下しているためと考えられる(matched hypoperfusion)。 ③機械学習:これまでの機械学習を用いた研究の方向性に関して検証を行い、どのような研究がここ数年で行われているか、という調査結果を学会誌で公表した。さらには機械学習の将来性と限界を検証した論文も公表している。
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今後の研究の推進方策 |
上に述べたごとく各々の領域における個別の研究計画は順調に進んでいるが,アルツハイマー病の画像データと機械学習を組み合わせる段階で若干の遅れが生じている。特に患者のデータ収集については主科となる精神科との協力が必要であり,中でも患者リクルートに若干の問題が発生しているが現状である。同時並行で進めている他の領域に注力することにより、機会損失が起こらないように注意深く研究を進めて行く計画である。そのためには研究の方向性を若干シフトする事を検討している。特に対象患者をアルツハイマーに限ってきたが、より広い領域の対照群とすることは考案中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルツハイマー病患者データ収集のためのリクルートに問題が発生しており、謝金の支出がなかった。それに伴い、結果報告のための旅費支出も計画より下回った。次年度は同時並行で進めている他の領域に注力することにより研究を進めいていく計画であり、その中で人件費、謝金を中心に支出を行う予定である。
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