研究課題
我々は3TMRで撮像した20歳以上90歳以下の健常人140人の脳の3DT1強調画像データにて、各年代別の標準脳を作成し、各個人ごとにZスコアーを自動で算出する診断補助ソフトウェアを作成し、変性疾患における疾患特異性を検討した。有棘赤血球舞踏病はハンチントン病と同様舞踏様症状を呈し、線条体が委縮する疾患であり、両者の鑑別は困難とされている。我々はこのソフトウェアを用いて個々の患者で解析したところ、以下の鑑別診断に有用な結果を得た。灰白質解析では両疾患共に線条体の萎縮を認めたが、白質解析においては全例の有棘赤血球舞踏病において、淡蒼球化~被殻~視床に対称性萎縮を認めたが、ハンチントン病では認めなかった。また有棘赤血球舞踏病は舞踏様症状以外にもてんかんなど様々な症状で発症し、長年に渡って診断されないこともある。我々は線条体、内側側頭葉のMR所見と付随運動、てんかん症状との経時的変化を詳細に評価したところ、初発症状がてんかんの症例が半数以上であり、辺縁系脳炎や海馬硬化症の画像を線条体萎縮に先んじて生ずる症例も認め、これらの情報は有棘赤血球舞踏病を診断する上で重要であること提示した。また我々はMRで鉄を定量化するQSM(quantitative susceptibility mapping)の手法を用いて、初期には鑑別が問題となる脊髄小脳変性症タイプ6(SCA6)と多系統萎縮症パーキンソン方(MSA-P)において検討したところ、MSA-Pでは小脳歯状核の鉄沈着が正常より強いのに対して、SCA6では正常よりも低下し、両者間に優位な差異を認めた。さらに罹患歴との相関を見ると、MSA-Pは性の相関が、SCA6は負の相関がみられたことから、後者は前者と異なり小脳歯状核の破壊性変化が進行するものと推測した。
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