研究課題
低酸素領域を検出できるPET用トレーサーの18F-fluoromisonidazole (FMISO)を用いて、サルコイドーシス患者に対して前向きコホート研究を行った。同時期にFDG PET/CTとFMISO PET/CTの撮像を行い、比較検討を行った。FDG PET/CTに関しては生理的集積を抑制する目的で18時間以上の絶食に併せて低炭水化物食の前処置を行い、検査を行った。FMISO PET/CTに関してはそのような特別な事前準備を行わなかった。10人の連続したサルコイドーシス患者を前向きに登録し、検討を行った。FDGにより9人に心臓病変の集積が確認された。FMISOではその内、7人に集積を認めた。FMISO PET/CTでは全症例で心筋への生理的集積は認められなかった。心臓サルコイドーシス病変だけではなく、リンパ節、肺野のサルコイドーシス病変への集積の有無を視覚的に確認し、FDGとFMISOの集積が必ずしも一致しないことを確認した。また、活動性の高いサルコイドーシス病変の中にも低酸素領域が存在するもの、存在しないものが存在することが確認できた。FMISOの集積がある病変はFDGの集積体積が有意に大きかった。心臓サルコイドーシスの活動性病変を評価する方法として、FDG PETが有力であることが示され、診断基準の大基準の一つとなっている。しかしながら、正常心筋にも生理的集積が見られることから、心臓サルコイドーシス病変を評価するためには、長時間の絶食や検査前の低炭水化物食による前処置など、特殊な事前準備が必要であり、偽陽性が出ることもある。FMISOは心筋への生理的集積に乏しいため、特別な事前準備は必要なく、患者の負担を軽減でき、偽陽性の心配もいらないと考えられる。
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Journal of Nuclear Cardiology
巻: NA ページ: NA
10.1007/s12350-019-01976-6