研究課題/領域番号 |
17K10428
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡本 祥三 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20431364)
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研究分担者 |
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
志賀 哲 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80374495)
渡邊 史郎 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (10802415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | FDiFA-PET / FMISO-PET / 腫瘍低酸素 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続きヒトを対象としたFDiFA-PETを行い、計8名の健常人を対象としてFDiFA注射薬の安全性を検討し、安全であることが確認された。これにより、患者を対象としてFDiFA-PETを行う事の妥当性を確立した。この成果を「 [18F]DiFA, a new hypoxic imaging PET probe: A first human study in healthy subjects」のタイトルで国際学会である第12回世界核医学会で公表した。 その後、7例の患者を対象として新しい低酸素PETであるFDiFA-PETと従来の低酸素PETであるFMISO-PETの両方を行い、両者の画像の質ついて検討した。その結果、FDiFA-PETはFMISO-PETと比較し有意に短い時間で同等の画像を得る事ができた。この結果は治療前の低酸素確認目的の検査における患者負担の軽減に貢献する事を示唆する。これらの成果について論文を執筆し、英文査読雑誌「The Journal of Nuclear Medicine」に投稿した。 実験動物を用いた基礎検討において、複数種の可移植性腫瘍細胞をヌードマウスに移植したモデルを作成し、FDiFAとFMISOを低酸素プローブとして投与した際のPETイメージングを行った。その結果、FDiFAではFMISOに比較して有意に高い腫瘍筋肉比で高コントラスト像が得られ、早期に低酸素領域を描出できるプローブである可能性が示唆され、臨床結果を支持する証左が得られた。この成果を「Investigation of the influence of intratumoral glutathione status on the distribution of a hypoxic probe [18F]FMISO」のタイトルで第12回世界核医学会、及び「低酸素標的PETプローブ[18F]DiFAの腫瘍内局在に対するグルタチオン環境の影響評価」として第13 回日本分子イメージング学会総会・学術集会で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 当該科研費の研究計画書において、研究計画・方法(概要)に以下の研究計画が記載されている。 【1.研究承認】、【2.患者選択、説明同意、登録】、【3.PET検査施行】、【4.基礎実験】、【5.評価・解析】、【6.成果発表】 研究2年目である平成30年度は、上記のうち【2.患者選択、説明同意、登録】、【3.PET検査施行】、【4.基礎実験】、【5.評価・解析】、【6.成果発表】を完全ではないものの行う事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、上記【現在までの進捗状況】に記載した研究計画・方法(概要)のうち、【2.患者選択、説明同意、登録】、【3.PET検査施行】、【4.基礎実 験】【5.評価・解析】、【6.成果発表】を継続し、より確実な成果を得る事を目標にする。 患者を対象とする研究では、FDiFA-PETが治療方針の選択や治療後の予後に与える影響について検討を行う予定である。 基礎実験においては、腫瘍へのFDiFAの集積領域と他の低酸素マーカーの発現領域が一致するかを検討することで、低酸素プローブとしての性能を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費や旅費が当初予定より少なかったため。 次年度の研究に必要となる物品費や、情報収集・研究成果発表での旅費などに充当予定。
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