研究実績の概要 |
外科的切除された肺扁平上皮癌及び肺腺癌の腫瘍組織におけるPD-L1, CD4, CD8, Foxp3, CD3, Glucose transporter 1 (GLUT1), Hypoxic induced factor1α(HIF1α)の蛋白発現とFDG-PETの集積の臨床病理学的な関係について検討した。 肺扁平上皮癌170例での検討では、PD-L1発現とFDG集積は有意な相関を示して、肺腺癌300例においてもPD-L1発現とFDG集積の有意な相関関係を認めた。しかし、CD4, CD8, Foxp3など腫瘍内のリンパ球浸潤と腫瘍組織におけるFDGの集積は特に関連は認められなかった。また、PD-L1発現とGLUT1やHIF-1発現との関係も有意な関連をみとめ、PD-L1は腫瘍組織において糖代謝や低酸素の何らかの関係があることが示唆されることがわかった。 この臨床病理学的な検討で、PD-L1発現が高いと有意な予後不良因子になることが、肺腺癌及び肺扁平上皮癌でわかった。特にFDG高集積の集団では、PD-L1発現が予後を規定する因子であることが多変量解析にて明らかとなった。さらに、EGFR遺伝子変異の有無でPD-L1発現とFDG集積の関連が異なることも明らかとなった。 同時に肺癌細胞株にて、FDGの取り込み実験を行いPD-L1発現との関連を検討したが、PD-L1高発現の細胞株と低発現の細胞株の選定に苦慮したため、in vitroでの検討は先には進めず次年度の課題とした。
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