本研究では温熱処理により細胞内においてタンパク質リン酸化酵素の一種であるSTK38がタンパク質分解酵素カルパインによって分解されることを明らかにした。生命科学研究の進展により、温熱に対する細胞応答の分子メカニズムが少しずつ明らかになってきている8, 9)。温熱耐性や抗腫瘍効果をもたらす因子・マーカーの同定が進むことによって、温熱療法と同等以上の効果を生み出す創薬への道も開ける。また放射線や抗がん剤などとの併用を行う上で、温熱標的因子や誘導因子の性質・挙動を把握しておくことは治療スケジュールの計画に重要な指針を与えるであろう。
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