研究実績の概要 |
血管新生時の内皮細胞の遊走を制御するαVβ3 integrinに特異的に結合するRGDの生体画像化を試みた。Tc-99m-RGDはSPECTでの集積の確認ができなかった。一方I-123-RGDはSPECTで虚血再灌流1週モデルにおける梗塞部の血管新生部に一致して集積が確認された。SPECTとオートラジオグラフィでの血流欠損の定量性の比較検討では良好な相関が得られた。 ラットの心機能、血流分布の継時的変化を8-28週令で検討した。左室拡張、収縮末期容積、一回拍出量は体重と強い正の相関を示した。一方駆出分画は体重増加に伴って徐々に低下した。心筋血流分布は心基部でわずかに変化したのみで他は変化がなく、血流分布異常は1つの標準血流分布マップとの対比で評価が可能と考えられた。 虚血再灌流モデルにおけるpostconditioning(PC)の炎症性変化と左室リモデリングに及ぼす影響の検討を行った。虚血再灌流1,3,7,14日後のC-14-methinine(マクロファージに特異的に集積する)の集積比はそれぞれ0.74±0.12, 1.85±0.16, 1.48±0.10, 1.25±0.04であったが、PCにより1,3日後では変化なく(0.78 ± 0.11、1.90±0.21)、7,14日では1.23±0.23, (p<0.05)、1.07±0.09(P<0.005)と有意に低下し、炎症性変化の終息が促進された。2月後の心エコーで、拡張末期径(0.97±0.16 から 0.78±0.12 cm, P<0.05)、収縮末期径(0.85±0.12 から 0.55±0.23 cm, P<0.05)は縮小し、fractional shorteningは改善した(12±6.2 to 29±12 %, P=0.01)。梗塞後の炎症性変化の早期終息は左室リモデリング改善と連関していた。
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