研究課題/領域番号 |
17K10436
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
蒲田 敏文 金沢大学, 医学系, 教授 (00169806)
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研究分担者 |
吉田 耕太郎 金沢大学, 医学系, 助教 (30645130)
土屋 弘行 金沢大学, 医学系, 教授 (40227434)
南 哲弥 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60436813)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 癌 / IVR / 凍結療法 / 凍結免疫 |
研究実績の概要 |
昨今、凍結免疫に注目が集まっているが、凍結免疫では腫瘍深部から凍結させることに加え、免疫賦活作用を増強させる薬剤を加えることで、抗腫瘍効果から予後の延長を図ることが期待される。我々は、凍結免疫に関わる免疫賦活としてのIVRの介入の可能性に着目し研究を開始した。 研究を進めるにあたり、まず凍結作用そのものの安定性、確実性の検討を詳細に行う必要があると考えられた。そこで、最初に凍結針として液体窒素を用いた針を自作した。現在市販されている凍結針は主に2種類あり、一つはアルゴンガス及びヘリウムガスを用いた凍結針、もう一つが液体窒素を用いた凍結針である。液体窒素を用いた針は、比較的安全で安価な構造である。我々はまず液体窒素を用いた凍結針を用いた凍結を試みたが、このシステムの構築にあたり様々な針などを用いた実験を試みた。最終的に凍結針の構造として中腔針の先端を溶接閉塞させ、中腔内に別個新たな針を挿入し、液体窒素を注入する構造のものを作成した。その上で、ex vivoモデルを用いて凍結させながらCT下で凍結されていく様子を評価した。次年度からはさらに良い凍結針を作成し、その到達温度そのもの画像定量化できる評価方法として、光音響画像を用いた検討を行う。その画像およびデーターロガーの値と組織障害程度を対比させることで、適切な温度画像診断、適切な組織温度到達の上で、適切な組織障害をもたらすことを明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
凍結免疫に関わる知見を得る為、最初に安定して評価可能な凍結システムそのものの確立を目指した。現在市販されている凍結針は主に2種類あり、一つはアルゴンガス及びヘリウムガスを用いた凍結針、もう一つが液体窒素を用いた凍結針である。液体窒素を用いた針は、比較的安全で安価な構造である。我々はまず液体窒素を用いた凍結針を用いた凍結を試みたが、このシステムの構築にあたり様々な針などを用いた実験を試みた。最終的に凍結針の構造として中腔針の先端を溶接閉塞させ、中腔内に別個新たな針を挿入し、液体窒素を注入する構造のものを作成し、データーロガーを用いた温度測定(評価)によって深部から良好に凍結されることが確認された。しかしながら、このシステムの確立に予想以上に多くの時間を要したため、当初の予定より遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
組織深部から凍結させるシステムとしての凍結針を自作し、ex vivoモデルを用いたCTガイド下での凍結実験により、本システムによる凍結範囲のCTによる描出が可能であることも確認できた。凍結療法は凍結される温度が絶対的な技術的到達点であるが、これは生体そのものの状態、つまりは標的組織の温度、血流、間質量など様々なパラメーターが関与するため、絶対的な予測や手法としての一般化は不可能である。したがって、実際の凍結時にリアルタイムで何度まで到達できたかを画像化できれば、凍結療法における技術的指標になる。今後は、凍結がどの程度されたか深部組織の到達温度そのものを画像で評価する方法を検討していく予定である。具体的には、ベッドサイドで画像評価可能な画像機器として欧米を中心として臨床で急速に普及している光音響画像装置を用いる。我々の施設では、全国に先駆けて小動物用光音響画像装置を施設に導入している。生体における様々な条件下でのそのシグナルの違いを定量化し、凍結針による凍結温度の画像化するとともに組織障害程度を病理組織にて行う。これにより、データーロガーを用いた計測による組織内温度をゴールドスタンダートとして組織内温度画像診断を確立する。また、同時に小動物用CTを用いて撮像を行い、CTによる見え方とCT値、組織温度到達程度の比較も行う。 以上の凍結に関する実験系を確立した上で、IVR介入による免疫賦活効果の増強について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
深部から凍結させる凍結システム構築が困難であり、当初予定していたよりも多くの時間を要した。今年度、評価可能な凍結システムをおおむね構築することができたため、来年度はIVR技術および薬剤負荷を併用した動物実験を進める予定である。
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