研究課題/領域番号 |
17K10437
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡田 卓也 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (80514786)
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研究分担者 |
荻野 千秋 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00313693)
山口 雅人 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (10457096)
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
上嶋 英介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40645561)
西村 勇哉 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命助教 (40728218)
杉本 幸司 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (90314476)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 過酸化チタン / 動注療法 |
研究実績の概要 |
放射線治療は急速に進歩しているが、治療効果を高める増感剤の開発は放射線治療の適応拡大に必須である。過酸化チタンナノ粒子はそのような放射線治療の増感作用を有する物質の一つであるが、20-200nmサイズの粒子が作成可能であり、EPR(Enhanced Permeation and Retention)効果が期待できる。EPR効果とは、腫瘍組織では正常血管内皮細胞よりも広い間隙(約200nm)が開口しており、またリンパ管が未発達で排出が困難なために、20 - 200 nm程度の粒子製剤は腫瘍組織内に長時間滞留・残存する特性のことであり、現在の抗腫瘍薬のドラッグデリバリーシステムの研究において最も重要な因子の一つである。 しかし、我々の先行研究においてはマウス尾静脈から投与された100nmの過酸化チタンナノ粒子は腫瘍に高く集積したが、それは総投与量の数%に過ぎず、多くは肝や肺などに集積・排出された。そのため、腫瘍への集積効率の向上、非標的臓器への集積の低減が未解決の課題である。そのため、物質の投与法として、実地臨床で既に普及している経動脈的な薬剤注入(動注療法)、さらには静脈からの薬剤回収(灌流療法)を用いることで、この課題を解決し、臨床応用へとつなげることが今回の研究目的である。主に膵癌などの体内深部の臓器に対し、動注は優れたdrug delivery systemであり、この研究のもつ意義は高い。 現状では動注療法により静注よりも高い集積を得ることが出来ているが、臨床応用に用いれるほどの選択的な集積亢進ではなく、さらなる集積亢進が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続き、VX2大腿胆癌ウサギモデルを用いて、金属ナノ粒子の最適な動注条件(粒子の濃度、速度など)を検討している。動脈側、静脈側にバルーンカテーテルを挿入することで、腫瘍血流を停滞させることで通常の動注療法よりも腫瘍への集積を認めているが、再現性がやや乏しいことと、投与量の多くが肝や脾などに集積する点が課題である。
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今後の研究の推進方策 |
金属ナノ粒子の粒子径変更、drug eluting beadsの併用といった動注技術上のアプローチを行う。また、VX2が変性の強い腫瘍であるため、ラットモデルを用いて同様の研究を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の実験計画より進捗がやや遅れており、次年度に本年度の実験の一部を行うこととなるため、それに必要な物品費等を計上する。
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